2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第35回 レーション

大體、日記と言ふものは、その日の終はりに、風呂上りパジャマで書くものであつて、當日の日付で朝から通勤電車で書くものではない。 本來は、「アー、今日は云々かんぬんなことがあつたなあ」と囘顧反省するべきものであつて「よし、今日はかうか/\ういふ…

第34回 月曜は必ず外酒

久しぶりに桂三金君と話し合ひたい懸案事項があつたので、天神プロップにて杯を交した。事項二つあり。雙方兩事項合意。 二人乾杯して、來舞大兄を迎へる。兄の音頭で更に乾杯。三金君は百八キロの巨體を維持するのに、酒は飮まぬからトマトジュースを大コッ…

第33回 お買ひ物

新しい體重計が慾しいと思つた。前にウチにあつたヘルスメータは、バネがイカれたか、基盤を濡したかで、私が乘つても體重が「---」と表示されるだけだつた。 「私の全存在は、無か?」 私を激しく落ち込ませ、哲學的思索へと誘ふ、精神的に不健康なヘルスメ…

第32回 時節がら

鍋の季節である。 仕事を早めに切り上げてマイミクの二人も誘つて、事務所の周邊、上本町邊りにでも出たい。 通ひなれた店の座敷。大鍋は大層だ。一人小鍋を皆でつゝゐて熱燗ダブルを三本ほど。 三人で、 甲「おい/\、普通、豚小鍋に、牡蠣と鳥の追加はあ…

第31回 御禮

前略 お世話になつてをります。 ↓引用開始↓ mixiからのお知らせです。亂坊 さんのページ全體のアクセス數が1000アクセスを超えました。記念すべき1000アクセス目の訪問者は まるく さんでした! ↑引用終了↑ 皆樣方のお陰樣を以て、本日付でアクセス1000を頂…

第30回 搜査本部長訓示

取引先の人が攜帶を落とした。二ヶ月程前のことだ。夜に醉つて落とし、翌日の朝、電話會社に聯絡し電話を止めた。 すると先月末に、普段は一萬圓いかない請求が五萬圓程きたといふ。電話會社に聞いたら、落とした夜に誰かゞかけたやうだ。夜中に二時間程。 …

第29回 だいがく祭り

祭りが近付いてきた。ふと思ひ出したんで書く。 今年の七月末頃だつたと思ふ。家で晩飯食つてのんびりしてたら、娘がアイスを慾しがつた。涼みがてらに二人を連れてコンビニに向かつた。 すると浴衣をきたお姉さんたちがたくさん歩いてゐたので、娘たちが「…

第28回 神罰

昨夜は櫻井市三輪の大神(オヽミワ)神社の宵宮だつた。 男逹は臺棒の下に殺到し、雄叫びを上げて平素の敬神の誠を込めて三輪の御神に太鼓臺を奉納した。聲は飛び、肩は腫れた…。 …はずであつた。 雨天により宵宮巡航中止!でも既に壽司や皿盛は取つてあるから…

第27回 重要!飯の食ひ方講座

お教へしませう。まづはおかずを摘む。この場合のおかずは今、假に牛肉の甘辛く炊いたんとする。別に懷事情によつては味付け海苔でも構はない。菜つぱとアゲの炊いたんでも良い。 これを熱々のご飯、どんぶり飯の山頂付近に靜かに被せる。そのおかずの最長邊…

第26回 トランス

休みの日は、ゆつくりと朝寢がしてみたくても、妻子がそれを許してくれない。叩き起こされると、妻は早くから起きて家事をして居るのだが、私に洗濯槽へゆんべの風呂の殘り湯を入れる作業をお言ひ付けになる。 私は平素、極道の限りを盡くしてゐるので、休日…

第25回 世界大戰

「あつ!」 指の間をすり拔けた一口サイズのカニクリームコロッケは、一度作業臺の縁でバウンドして床へ落下して行つた。當日のバイト三人と親方の目はその抛物線に釘付けとなつた。 ペタ。 さほど美しくもない床に、哀れカニクリームコロッケは激突。四人は…

第24回 きつかけ

入學式直後に、落大のブース前でかう言ひ放つたと思ふ。 「落語しに關大へ來ました」と。 …落語の事は全然知らなかつた。平良が持つてた仁鶴師のテープと枝雀寄席しか知らなんだ。關大赤本に載つてゐた落語大學の寫眞に高校時代の私は、大學生活の象徴として…

第23回 居候のイソ

學生の頃、實家で犬を飼ふてゐた。名をイソ號といふた。私が中學一年の頃、弟が子犬だつたイソを拾ふてきたのであつた。 私は落大時代、毎晩飮み歩き、泊まり歩いて、滅多に家に歸らなかつたので、家での食事は數に入れられてゐなかつた。家族は食事を終へる…

第22回 己を映す鏡

賢明なる皆樣にはもうお解りの事と思ふ。朝に電車で攜帶から書く傾向がある。 枠取りだけがしてあつて、本文が夕方または翌日に書き込まれる日。これは二日醉ひのボロボロなスタートと考へてよい。昨夜は午前樣でタクシー歸りのネクタイ鉢卷きである。妻は愛…

第21回 近況報告

日記を書きだして二十日が經過した。讀者の皆さんから樣々なご反響を頂き當惑してゐる。 誤脱字のご指摘を始めとして、拙文へのご感想、ご忠告、ご抗議などを、日記上の返信、メッセージ、直メール、電話、封書など樣々な媒體で頂戴してゐる。 得體の知れな…

第20回 線が太い

「兄ちやん、食べてや」 昨日の東吉野丹生川上社境内。實に心地よいお接待を受けた。 直徑40cmのパックにギッシリと入つた握り飯。半分は黒ゴマ、半分はゆかり(シソ混ぜ)。オカズは亂切りした蒲鉾、高野豆腐、コンニャクの炊いたん他。うまい。 酒はない、ビ…

第19回 日本人の喜び

下の娘は前、上の娘は後。そして私は死に物狂ひでペダルを踏む。 自宅の住ノ江區から西區靱公園、或いは、橋を超えて南港フェリー埠頭まで。または堺の公園。ひたすら走る。 背中のリュックには握り飯。親子三人分の握り飯。買はない。握る。炊きたてを涙流…

第18回 お壽司が好き

寄席打ち上げの宴席で、隣りに座つてゐた圓九君が言つた。 「やつぱり、よー食ひまんなあ」 確かに腹は減つてゐた。舞臺の前は昔から食べないやうにしてゐる。腹ペコで夕方を迎へた。 私は平靜を裝つて言つた。 「あゝ、朝から何も食べてゐないからな」 笑太…

第17回 さぶイボと涙の季節

10月も半ばを過ぎると秋祭りが近付いてくる。我らが敬愛する墨坂神社の秋期例大祭。地域では敬神の念を込めて氏子らが四臺の太鼓臺の大棒の下にこぞつて肩を入れ、街中を擔ひで練り歩く。團長の笛の合圖に合はせて目よりも高く捧げ上げ、全員で「指せ(サセ)…

第16回 決意

妻が出かけに言つた。 「あんた、いつまでクールビズしてんのん」 え、まだ暑いやん。 「それは太つてるからや」 はつ、さうだ! 實際、ズボンのウエストは千切れさうだ。もしナカライさん(注)といゝ雰圍氣になつた時とて、とてもやないが裸體を晒せる状況に…

第15回 準備固く、名譽重し

ひとたび誓ひをたてゝスカウトになつてキャンプに行くと 「人間とは食ふために生きてゐるんだなあ」とよく解る。 起床洗顏。國旗掲揚の後、配給、火起こし、調理。朝飯食つて、お片付け。その後に朝の課業。 2時間ほどで、配給、火起こし、調理。晝飯食つて…

第14回 二慾同居問題

確か「酒池肉林」は殷紂が酒を池に澑め、裸婦を並べ酒を飮んだ故事からなりたる語だと古文の松永先生は云ひたるやうに思ふ。是れは現代語に直すと80年代末葉に一時流行つた「ファッションラーメン」其の物なり。又、其の繼承たる「ノーパンしやぶしやぶ」も…

第13回 食に對する眞摯な心

冷藏庫を開ける。前觸れもなしに開けるのだ。この行爲一つにより、その方の、とりわけご家庭ならば奧樣の、そのお宅での「食に對する心根」をある程度讀み取ることができる。 食品が滿載で混然とした冷藏庫。ウチの實家などがさうだが、冷藏效率が惡いことは…

第12回 メニューのみ

三週の重し(注)が取れて肩の輕いこと。朝飯 昨夜の炊き込みご飯の殘りを一杯。 晝飯 拔き 晩飯 痛飮(寫眞はサンモリッツでの澤庵の圖) (注)古今東西落大寄席の上がりかと思われる。

第11回 AJI

暑い…。陽炎で景色が搖らぐ。合衆國ネバダ州リンカーン郡米軍管理地域内。私は砂漠を歩きながら一枚の看板の前で立ち止まつた。 【無斷侵入者は射撃される】 N37°14′36″52、W115°48′41″16。 この坐標値を書いたメモと簡易のGPSが宅配…

第10回 慢性食中毒

喫煙者は、タバコを吸ふと血液中のニコチン濃度が上昇するらしい。此の値が下がると「タバコ吸ひてぇ」となつてジタバタするんだと聞いた。此の濃度が高水準で推移して、下降せぬ状態を「ニコチン中毒」といふのださうだ。 同じ事は酒にも言へる。酒飮みは、…

第9回 代用食

味の好みは遺傳す。 お休みの日、とりあへず鍋に湯を沸かし、朝ご飯を考へる。 此の時點で分岐は二つ。團子汁か茶鬻だ。 團子汁に進路を取るとす。ナスビか白菜のどちらかとアゲさんをバサバサつと切つて炊いておく。而して先に味噌汁を完成させる。ボールに…

第8回 損した

毛だ。縮れ方が頭髮でない事が分かる。別にいゝ。そんな事を氣にするやうな飯食ひとは飯食ひが違ふ。 ハンバーグに生えてるやうな毛を拔ひた。割と長かつた。女店員さんが余がハンバーグから毛を拔ひてゐるのを見た。 「申し譯ございません!(大聲)」 女店員…

第7回 飯、食うの?

「あなた今日の夕食はどうなさゐますか。」(標準語譯) 夕方になると妻から此の主旨のメールが入る。余は以下の内容を返す。 「あれば食らふ」 是れは以下の宣言だ。 「たとへ飮んで、飯食つて歸つても、家に晩飯があるのなら、殘さず食べる。心配するな。(愛…

第6回 飽食の時代

奈良は結構大飯を食はせる店が多い。大飯を食はせる店と知らず平素の如く「大盛」といふと大變な事と爲るので注意を要する。 今日は昨夜の痛飮に因り體調惡しき故に、飯食はざりしかば、寫眞の欄空きたり。この塲を借り掲載しおく。しんどいので今日はもう寢…