第29回 だいがく祭り

 祭りが近付いてきた。ふと思ひ出したんで書く。
 今年の七月末頃だつたと思ふ。家で晩飯食つてのんびりしてたら、娘がアイスを慾しがつた。涼みがてらに二人を連れてコンビニに向かつた。
 すると浴衣をきたお姉さんたちがたくさん歩いてゐたので、娘たちが「お祭り、お祭り」と騷ぎ出した。目の保養といふ邪まな思ひもあり、晩飯のほろ醉ひも助けに、娘たちの手を引いて同じ方向に歩いてみた。
 しばらく往くと神社があつた。確か「生根神社」だつたと思ふ。物凄い人出だつた。娘たちとはぐれぬやうにしつかり手をつないで境内へ。
 驚いた。提燈が澤山ぶら下がつた、傘のヲバケみたいなものが高く立てゝあつて囘つてた。鈴の音がした。地元の子供たちが聲を揃へて歌つてた。
 「何ぢやコリャー」と思ひながら、提燈の明かりのもと親子三人でかき氷を食べた。司會に憧れの濱村淳先生が來てゐた。もつちやりさを堪能し握手してもらつた。
 あつ、兄ちやんの家近いなぁと氣付いたんで、來舞兄貴に電話してみた。すると兄貴、ご幼少のみぎりこの祭りに出てたさうで、電話の向うで子供たちに合せフルコーラス歌つてなさつた。
 なんぢや氏子かいな、つてことになり、さういへば、兄貴の親父さん元氣かいなあと思ふたので生根さんの御札を買つて兄貴の實家に行つてみた。
 呼び鈴を鳴らして「親父さん!亂坊が代參してきましたでえ」ちゆうと「さうかさうか、まあ上がれや」つてことになつて、お家に上がり込んでわしがビールやら、娘たちがお煎餠やらを頂いた。
 お喋りして、そろ/\歸らうかと思ふたら、親父さんに兄貴から電話。内容は「亂坊に冷酒二合瓶六本セットを持つて歸らせてくれ」とのこと。あれまあ、代參の駄賃には過分過分と隨分恐縮して歸宅。感謝と共に頑張つて晩酌四日で見事、全瓶飮み干した。
 一週間後、電話で兄貴と話してたら、どうも冷酒二合瓶六本セットは代參の駄賃ぢやなくて、預かつておけ、今度家に持つて來い、といふことらしかった。手遲れだ。瓶と箱だけはとつてある。
 實にうまい酒であつた。
 
【陣中日誌】

朝飯 鯖の鹽燒きと飯(昨晩の殘り)no-pics
晝飯 廻轉壽司
晩飯 妻仕事につきお迎へ當番の日 亂坊式ヤキソバ4玉を皆で