第28回 神罰

 昨夜は櫻井市三輪の大神(オヽミワ)神社の宵宮だつた。
 男逹は臺棒の下に殺到し、雄叫びを上げて平素の敬神の誠を込めて三輪の御神に太鼓臺を奉納した。聲は飛び、肩は腫れた…。
 
…はずであつた。
 雨天により宵宮巡航中止!でも既に壽司や皿盛は取つてあるから、殘しても困るので盛大に飮んで、食つて歸つて下さいとの有り難い仰せ。
 「いえ/\(パシッ 注1)、それでは飯を食ひに來たゞけみたいですがな。(ピュー 注2)」
 
  (注1)パシッ 割り箸を割る音
  (注2)ピュー お魚の形の醤油差しから醤油を噴射する音
 
 辭退の言葉もほど/\に、さあ、飮みよつた、食らひよつた、頂きよつたちゆうヤツや。
 壽司は、萬直し壽司店の桶。三輪は酒の神。全國有數の酒がしこたま並ぶ。酒量、飯量は敬神の證。こゝをせんどゝ日頃鍛へた肝臟と胃でご神食を賜つた。僕なりの信仰の戰ひ、聖戰だ!
 聲は飛ばず、肩も腫れず。代はりに記憶飛び、まぶた腫れる。ひどい二日醉ひだ。完敗だ。
 
【陣中日誌】

朝飯 拔き
晝飯 爽健美茶 1000ml
晩飯 燒き鳥吉鳥でほのかに醉ふ
夜食 歸つてハンバーグ、野菜サラダ、飯