第1311回 残60日の燃焼

 [2月1日朝]抜き。表現舎とは何かを己に問う。かつてに言う「大衆と共に在り共に歩む求道者」にして「主客一体」を通じ世界を1ミリ良からしむる万民「時空共有」の立会人が解なり。公私(即ち舞台と生計維持)を問わず、愛を以て今在る世界を何とかしようともがくことこそが余の本義なり。
 [1日午前]森田御筆頭と面談。心待ちにせる後任到来に本所における余の使命全うし果つ。本所は実に素晴らしき世界となりぬるは余が保証す。阿・田両君生涯の親友を得たる喜び、先輩兄姉各位の厚情は言うに及ばず、人生最大の困窮に父の如き保護者として親方のわが人生へ到来したるに感謝。
 [1日昼]コタ兄と街角屋で鶏カツ定食。全てを見えざるに委ねて私度僧なれど生まれ変わりて4年、眼前に起こる全てを直く受け入れることは、自己を含むこの世界を真に愛することに他ならず、かく見れば世界の美しさを知るに至る。勝ち負けなどないと若年の両君らに伝え続けたるはこの義なり。
 [1日午後]ポスター最大枚数250記録。終焉に向かいてこそ最大の効率を発揮するは奉公人の努め、今までと変わりなくあるは初めて人に仕えた家臣のあるべき。後、阿君と雑感交わす。馬合い、百年の既知となれる彼に表現舎の屋号を与うるを欲す。否むしろ名乗て欲しく思う。余は屋号なしで構わぬ。
 [1日夜]明日は旅行会添乗ゆえ朝早く、互いに早く帰らねばならぬが、どちらが言うともなく阿君と安酒屋のカウンターで二人乾杯す。至福の時。彼の前途が見えざるにより既に祝福されたるを先んじて感謝す。余と今宵、時空を共にした彼の心憎い計らいに感謝す。帰り住吉屋に寄る。