第1151回 「春の新生活応援セール WakuWakuガラポン抽選会」DJ(千林商店街組合)

 ものごっつ昔、同門の忠拝君にアビ社長を紹介してもらった。アビの新規事業である在宅支援110番という介護事務所で寄席を継続運営するための打ち合わせであった。
 在宅支援110番の管理責任者であるアビ嬢と出会う。100年の既知となる。馬が合った。様々話し合う。アビ本業はイベント関係の会社であった。千林商店街で本業でお役に立ちたいとの強い意思をお持ちであった。僕も表現舎であるから沢山の人の前で話す自分が思い起こす何かを知る舞台として、千林は申し分ない。進むべき方向が合致した。
 千林とはぜひお付き合いしたい。とにかく動いてみよう、やってみようと動き出した。
 クールさんがいた、副理事だ。千林を日本一のおもろい商店街にしたいという信念をお持ちであった。この人には可愛がってもらった。何十期も先輩なのに、同門であることは素晴らしい、ああ、瞬時に1000年の既知となった。
 機会あって、アビと千林の販促コンペに参加した。商店街活性化アドバイザーとして表現舎として参戦した。最終的にこれは敗戦したが、アビとの協同は階段を一歩上がったのを感じた。ご担当・アビのカザリ兄と懇意にしてもらう。実に明晰な兄で、しらふにて爽、ともに飲んでも快、心地よき漢であった。
 アビとは別に、クールさんから千林100円商店街のMCを頂いた。「いつもは俺が喋るが、今回は俺に供せよ、乱坊!」との仰せであった。お供させて頂いて驚いた。過去日誌にも記しているが、前に立って僕にすべてを見せてくれた。今までの僕の「掛け流し」は小児のザレゴトに過ぎなかった。自分のしゃべりがもどかしかった。
 二回目の100円商店街MCは、クールさんをイメージして楽しんだ。
 「乱坊!良ぅなったな」。終演後にお声掛け頂いた。組合事務局でもずっと全アーケード放送をモニターされている。クールさんも店先で子供服を売りながら最期の一言まで聞いてくれていた。神聖なあの人と共に。
 彼は言った。
 「乱坊!なんで良ぅなったか、わかるか?」
 「なぜでしょうか?」
 「お前が『千林商店街』を好きになったからや」
 まったくだ。愛着がないと6H以上を間断なく楽しく喋り抜くことなどできぬ。僕らはこんな精神性でのみ動いている。
 
 今回のセールはアビによる事務局との直受けだ。かつてのあの日、千林で仕事をしようとアビ嬢と誓ったあの日の形が実現した。感慨深いものがある。アビから受けた厚情を一つ形にできたとしたら、僕はそれで幸せだ。それで恩返しができた。
 アビ嬢としみじみ語る。「とにかく、その方向に向けて進みだすというのは、実現のための第一歩なのねー」と。自分で言いながら、どこかで聞いたことがあるなあと思ったら、これ、僕が言う「表現舎であると宣言した瞬間から、世界は僕を表現舎として扱い出す」という、これまで見てきた確信に近い。
 「ひやふげんしや」
 自分の屋号をそう発音したのは単なる思い付きだ。インスピレーションという形で、気づいて決心するというのは、見えざる手(何と呼んでもよい。「聖霊」とか「JC」とか「仏」とか「神」とか)によりもたらされる内的経験である。それを自身の口や体を通じて「世界に宣言」することによって、世界は音を立てて、あるいは本人に気づかぬように無音であっても豪快に動き出す。
 わかりにくければ、双務契約を思い浮かべればよい。与えられる内的経験のみでは片務であり、体(口)からの宣言により双務となるのだ。
 娘らよ、三人の娘よ、よく聞け。父が言うところの、自分は何者で、何をしにこの世界に来たかを自分自身に問いたまえ。必ず応えは与えられる。それを(初めは恐る恐るでよい)おのが口で宣言せよ。宣言すれば、あーら、不思議、世界はそのように動き出す(ロマ10:10によく似たことが書いてある)。
 銭を思い患うな。薄く口に糊していればよいと知れ。そして目を見開いてよく探しなさい、周りを。君は必ず、助けてくれる支援者を見いだすだろう。糧は心配せずとも与えられる。娘らにこれを言っておきたい。何も遺してやることはできぬ。父亡き後の遺言とこれを受け止めよ。
 
 アビ嬢は、MCに僕を採用してくれた。イベント専門会社として素晴らしいMCもたくさんあるだろうに、表現舎にマイクを委ねてくれた。論功行賞もあろう。が、道を求める者としては、ただ時間を治めれば良いのではない。
 僕は、予定の1330声出しでは納得がいかぬ。1130から喋り出す。1800の終演まで、昼食45分を除いて今日も6.5Hのノンストップパワープレイだ。平素千林をご愛顧下さるお客様に、組合員お一人お一人の感謝の誠をお訴えしながら、ここで、今、僕がいるここで、ガラポン抽選会をやっている、これを千林の一員としてお伝えする、実況する。
 「お前が『千林商店街』を好きになったからや」。クールさんのご示唆は真実である。池田サカエマチ商店街でも体験したことだ。組合員のお店の読みを一店一店覚えていく。顔なじみのお店が出来てくる。皆さんと挨拶を交わしながら、郷土の駅前商店街のごとき心地がした。