第1191回 阿倍野区いきいき教室(清明丘会館)

 7/12の条である。阿倍野区社協へ初上陸である。
 これまでも家族介護の会や、連合から直受けの機会はあったが、いきいきシリーズの協業が始まるのは今日からだ。
 早く来られているお客様方と椅子並べしていると、皆さんのお話にジョゼのビアパーティーの噂などが聞こえてくる。面白いものだ。
 ご担当はY女史。これからお世話になる。
 60分。あと茶話会。90分の時間を超過する楽しいひとときであった。
 
 いきいきが終わると普通は自宅へ帰る。ジョゼ事務所は午前勤で切って帰っているからだ。しかしこの日は戻らなくてはならなかった。マダガスカル地区の青年部役員会議があったからだ。
 
 ここでちょっと横道に逸れる。これをまだ記録していなかった。ジョゼの事務所のマダガスカル地区担当には相方ができた。今後出てくることもあろうから紹介しておく。「ABちゃん」という。彼は自身のことを「ちょっとハニカミ屋さんのブラッド・ピッド」などと言う。冗談はさておき、僕には、彼の形態模写の天賦の才能に敬意を表して「ジョゼッペの中の人」と呼んでいる。外見は「繁盛してない柔道接骨院の先生」と言った感じだ、いや、ええ意味で。
 この彼が、事務所に増員されたのだ。
 
 この日記では現実世界の差し触りを考慮して、仮想表記に変換していることは、熱心読者のよく知るところである。少しく冗長とはなるが、ジョゼッペ事務所の陣容を再度整理しておこう。
 表現舎の生計維持が主たる目的ではあるが、フィールドの社会各層十数万有権者と触れ合い、当代人間社会の実情を、哀れ蛍光灯乱坊に把握せしめんとして機会を与えられたのがジョゼッペ事務所である。神の御業だ。
 親方は、ジョゼッペ=グリマーニ元イタリア空軍中尉だ。僕は親しみを込めて、「ジョゼ」とか、大抵は「親方」などと呼んでいる。
 ジョゼは現在、銀河連邦議会のオリオン腕第9071選挙区(太陽系を含む周辺の惑星を有する恒星群)で再選を目指す元・銀連議員である。彼は、わが太陽系第三惑星のアフリカ大陸、マダガスカル島およびアラビア半島を含む地域を地盤としている。
 地盤の内、最大面積と有権者数を誇るアフリカ大陸は、秘書筆頭である「Mr.モーリタニアン・フレンチ氏」が担当している。また繁華なアラビア半島は「九州男児ヒューマノイド(SpecNo.:NS-9000-T)」が担当している。そして僕は事務局ながらマダガスカル島を担当していた。
 このほか非常勤メンバーに「関大スポーツマンクラブM崎先輩」がおり、また事務局には別の「九州男児ヒューマノイド(SpecNo.:NS-8900-S)」が設置してある(注1)。そして「旧姓N谷先輩」と、「IDG姉さん」が僕の調教役としてお控えなさっている。改めて書いてみると実に現職級の陣容である。
 
注1:九州男児シリーズ(Nine-Sates型ヒューマノイド。両型式とも現在廃番で残存は稼働中の2台のみ)のNS-9000-T型と、NS-8900-S型は中央演算装置(CPU)の処理能力に若干の違いはあるが、ほぼ同型で、前者は「発見的プログラムされた遺伝的アルゴリズム」で制御されていたのに比して、後者は行番号付きのBasicで動いておりマルチタスク不対応である。T型とS型の枝記号は、表層の塗装がチタンか、シリコンかだけの違いである。
 
 ここにABちゃんが来た。僕は光の速さで彼にマダガスカルの引き継ぎをなし、多くの希望や夢、そして改善要望を彼に語った。彼は地区担当秘書として、僕は事務局の地区担当として、手を携えフィールドをかける。
 本当に良かった。7月は舞台が多く、時間労働者にもかかわらず心苦しく思っていた。待ち人来り、だ。地区の全受けから、サブに回ることを望んできた。思索もお稽古も何もできないことに焦っていたのだ。マダガスカルは本来強いところだ。彼と、事務所のみんな、そして親方へのアシストをすることが表現舎の勤めであると思っている。
 
 さて、件の役員会である。15名程度の幹部級の会だ。会を進行して役付きの皆さんに順次挨拶を回し、親方の謝辞へと振って、ぼやーっと話を聞いていた。僕は、親方の謝辞のエンディング辺りでわが耳を疑う。
 「…でございますので、彼は、落語などもやっておりますから、敬老会、各種集会などにもお気軽にお呼んでやって頂けたらと思う次第であります」
 そして僕の方を見て、親方、ニヤリと笑った。
 はぁ?親方、何言ってんですか?こんなとこで僕売ってどうすんですか。
 「先生、僕はいいので、ご自分の話をなさって下さい」
 僕は小声で親方に言ったんだが、聞こえた皆はドッと笑う。
 某女性部長は「ウチの地域は来てもらいました」と言ったのを皮切りに、口々に皆さんが喋りだす。
 「ウチも社協で来たらしいな」
 「敬老会とか来てくれんのか」
 「ウチはいつ来るねん」
 不思議な光景だ。マダガスカルはジョゼに来る前から回っていた。ジョゼにいるときは、表現舎であることを隠していた。親方に迷惑がかかるといけないと思っていたからだ。
 だが、見よ、ここにおいて昼勤ジョゼ事務所と、表現舎は、完全に合一した。聞け、娘らよ、君がなりたいものになれ。世界はかくのごとく美しい。