第1196回 パナソニック松愛会高槻支部 第15回「学ぼう会」講演(高槻市立総合市民学習センター視聴覚室)

 この日は、驚きの連続であった。本間にビックリした。
 昨日、アンドロイド美智子18世が引き起こしたマシントラブルが、コードの問題だったのか、彼女本体の雄ジャックの問題なのかを判別しようと、会場に早めに入ろうとしていた。JR高槻駅に着く。改札を出た途端だ。
 
 「高野さん!」
 
 突然、左後方から呼び止められた。僕はその場にビクッと立ちすくむ。ああいうときには脳がものすごい速度で回転するものだ。
 
 「何だ?誰だ?」
 
 台風の雨で表土が流れ、土からニョキっと現れたミイラ化した右手に、僕のスーツから引きちぎられたボタンがしっかと握られていたのか? 時給に釣られ応募しようかと考えた原発決死隊へ、反対にお国から名指しで徴用されるのか? 去年の幼稚園落語会のギャラに文科省補助金が混入しており、当日の落語の出来と勘案して会計検査院からお咎めを食らうのか? はたまた忘れ去っていた神のお召しの日が今日だったか? 一体何だ?
 
 恐る恐る見るとそこにはなんと!
 ジョゼッぺ事務所の卒業生・金丸お姉様が佇んでおられるではないか。
 
 「ここで、何してはんのん?!」
 
 彼女は僕にビックリした顔でそう言った。高槻で会うはずがない。待ち合わせしてもこうはいかん。何でこんなとこで会うんだ!嬉しくてポーンとテンションが上がる。
 
 僕は言う、「ここで、ずっと、お待ちしておりました」
 
 会場へ向かう。松愛会高槻支部、60名90分。いい感じだった。この人らといると、新・主客一体の根本がわかる。ありがとうございました。
 はねて、大阪駅へ。上本町に赴くご用があった。谷町線に急ぐ。
 
 すると、谷町線東梅田駅の改札のところで、大きい男性が向こうからやってきたくるのが視野に入った。僕は日記を打ちながら歩いていたので、その大きい男性と鉢合わせになった。その人は、聞き覚えのあるハスキーな声でこう言ったのだ。

 「乱坊さん!」
 
 突然、真正面から呼び止められた。僕はその場にビクッと立ちすくむ。ああいうときには脳がものすごい速度で回転するものだ。
 
 「何だ?誰だ?」
 
 売りさばいたマンションの壁が崩れて、中から白骨化したあの女の死体が出てきてしまったのか? 某S急便南港配送センターの登録がまだ残っており、人手不足を理由に拘束され強制就労されるのか? 7年以内の悪質な所得隠しがかつての取引先の反面調査から発覚し、雑踏だと思っていた周囲10メートルの人達は全員、査察官であったか? はたまた僕は既にこの世の者でないことに気づかず歩いているが、実はこれから死神に冥府へと引きずっていかれるのか? 何だ!一体どれだ?
 
 恐る恐る見るとそこにはなんと!
 池田おたな界隈「引札寄席」で僕を随分と贔屓にして下さる「守屋の旦那」が佇んでおられるではないか。
 
 「ここで、何してはんのん?!」
 
 守屋の旦那は僕にビックリした顔でそう言った。東梅田で会うはずがない。待ち合わせしてもこうはいかん。何でこんなとこで会うんだ!嬉しくてポーンとテンションが上がる。
 
 僕は言う、「ここで、ずっと、お待ちしておりました」
 
 「ほんまやったら二人で一献傾けたいがなあ」。旦那はまだご用があるとのことで、酒惜しそうに雑踏へ消えて行った。
 
 ぶっちゃけ、自分の特殊な能力(約束していない人にガンガン会う能力)には薄々気づいてはいたが、二人も会うかなあと恐ろしくなって、東梅田駅のホームで電車を待っていた。すると、だ。
 
 「乱坊ちゃん!」
 
 突然、左横の初老の紳士に声を掛けられた。僕はその場にビクッと立ちすくむ。ああいうときには脳がものすごい速度で回転するものだ。
 
 「もう堪忍してくれ。今度は何なんだ?」
 
 僕が夜な夜なアクセスしているサイトへの書き込みがエシュロンのフィルターに引っ掛かり、CIAのエージェントに消されてしまうのか? 25年前の百貨店バイトで本店に品物を取りに行ったとき、あまりの空腹に”しそ巻き天ぷら”を内緒で5本食ったことがバレて横領罪でぶち込まれるのか? 地中奥深くから発見されたオーパーツに明らかに漢字で「表現舎乱坊」の5文字が発見され国際学会で吊し上げにあうのか? はたまた体験するこの世界は実は胎児の夢であって、僕は未だ出生以前に母の羊水で浮かんでいることに気づくきっかけとなる、産婦人科医の呼び声か?
 
 恐る恐る見るとそこにはなんと!
 「森脇の旦那」が佇んでおられるではないか。今治さんを通して知り合った(今治さんはらいむ師の紹介だ)。この「森脇の旦那」は、後に、「クラリネットのおじさん」へと僕を導く人である。「クラリネットのおじさん」を通じて僕は以下の言を得るに至る。「神は舞台に降りてくるのではない、どこにいても君は神と直結できる!」。酒席で彼は看破した。彼の経験による魂の言葉だ。
 さて、話は「森脇の旦那」へと戻る。
 
 「ここで、何してはんのん?!」
 
 旦那は僕にビックリした顔でそう言った。東梅田駅のホームで会うはずがない。待ち合わせしてもこうはいかん。何でこんなとこで会うんだ!嬉しくてポーンとテンションが上がる。
 
 僕は言う、「ここで、ずっと、お待ちしておりました」
 
 「糖尿病で来月、仕事引退しようと思ってるんや、その前に逢えて良かったわ」。旦那との再会を帰して別れる。かなりほっそりとお痩せになられ面影の変わった彼は雑踏へと消えて行った。 

 そのあと、上本町で僕がお願いした13人(落語関係は11人)の皆さんに、ある落語会に行ってもらったのだが、これは待ち合わせしていた人達なのでカウントしない。
 まあ、ゆっくり考えると恐ろしい勢いで人にバッタリ出くわしているんだが、僕クラスに連続すると、誰ともバッタリ出くわさない日などは、ものすごく物足りない気持ちになる。人間というのは贅沢なものだ。