第1156回 旭区社協いきいき教室(城北連合会館老人憩いの家)

 旭区社協に初上陸した。感慨深い。すべては粋花さんから始まった。感謝を込めて申し上げる、ありがとうございます。粋花さんの奥さんにも最大限の感謝を。またこれまで関わってくれたすべての各区社会福祉協議会、すべてのネットワークの奥様方、そして来て下さったお客様方に感謝を申し上げておきたい。
 旭区では、区社協の家族会での単発講演があった。他は千林商店街でのMC、落語会でしか足跡を付けていない。今般、旭区社協上陸に際し、事情聴取して下さったS女史は、勢いのある面白い方で、「乱坊ちゃん、しっかりやるねんで!」との温かいご訓示を賜っていた。
 今回、再度のご面談を楽しみに赴いたが、悲しいことに大正区社協へご転属されたとのこと。いらっしゃらなかった。残念。見てほしかった。しかし僕の未踏地・大正区にご栄転とは!かつてから大正区に上陸したい希望を有してきた僕としては、慶事であると言うこともできる。
 
 はじめの頃、区社協にプロフを持って、営業に回っていた。が、それはあまり意味がないことに気がついた。海のものか、山のものか、どこの馬の骨かわからん「表現舎」なる怪しげな男に、お時間を委ねる決意をするのは難しいものがある。
 状況は、パッと見、単なる詐話師でしかない。誰も僕を知らない。期待もされていない。が、皆さん、席に着いて、人生の貴重な一瞬を僕と過ごそうとされるのだ。常々言うように、一戦一戦は相手方の人生を賭した高額なる有料公演である。
 だからこそ、すべての舞台、一瞬一瞬に集中し、空間を掴もうとして爪を剥がし、想い届けかしと声を飛ばすのである。常に予想外であってほしいと望む。誰や知らん馬の骨と、予想外に楽しみ、主客が一体化し、客席の皆さん「で」時空を共有した思い出が1センチ、否、1ミリでも残って下されば、それでいい。
 フラダンスでも、ちぎり絵でも、次回、翌月の「いきいき教室」にまた行こう、あの人にも声をかけてみよう、という皆さんの神聖なるアクションの一助になれば幸せだ。
 僕は、「いきいき教室」において、客席皆さんの一体共有の触媒に過ぎず、その瞬間の立会人、生き証人であるべきだ。それが近隣相和し、崩壊しつつあった皆さんの郷土あるいは地域社会の世代や役割を超えた再構築(振興町会・社協やネットワークの皆さんのお取り組みは顕著な例である)につながる何かになれれば、ここにこそ表現舎存在の砂粒ほどの意義がある。
 
 およそ2年半前の記述から引用する。あの頃は全体像がよく見えずにただ思いつきを書き殴ったものであったが、今、よく読んでみると、あの頃の僕から、今の僕への激励にも見え、かつ、決意表明にも見える。これが平素に言うアホなりの「表現舎としての宣言」であったように思う。
  
 「玄人は華やかな芸能界において自身の商業的成功という崇高な理念に基づき諸活動を展開するが、素人は一生活者かつ地域コミュニティの一員として、その究極は呼んで頂く主催者とお客様との間の連帯感や一体感を醸成し、失われた地域コミュニティの再生や、温もりある繋がりを、互いに手を取り合って微笑み確認し合い、現代に往年の人間や社会が仲むつまじく寄り添うて、関わり合い生きていたことを共に回顧し、或いは新たに紹介することで、殺伐とした社会に潤いを取り戻そうと強く願う、各層の要求に励まされて活動する。
 お客様と自分自身が意識すると否とに関わらず、様々な場面で素人までもを呼んで落語の実演を求められるのは、戦争からこっち、社会で何もかもが変わり果ててしまい、伝統的で質素な地域コミュニティを重視してきた日本の民族精神が失われつつあるのを、必死で食い止めようとする民衆の最後の安全装置の発動である。
 素人は自身の成功や名誉、栄光が目的なのではなく、上記の世界観実現のための媒介者であり小道具に過ぎぬという自覚に基づき、社会を象る一助としての使命と大義があるのであって、大衆の中にあって大衆と共に歩むところに、玄人との最大の差異がある。
 即ち、我ら素人は服部阪急商店街の夏祭りで、団塊世代の奏でるグループサウンズブースの轟音に声を掻き消されながら、金魚すくいとフランクフルトの間で懸命に舞台を勤め、客足を止めるのが本来の使命であることを大いに誇りたい。アゼリアホールは分不相応なのである。
 これは私見に過ぎぬ。しかしあの日集まった150人が舞台で自分の感受を信じて表現している様を見て、落語と縁のあったことを大いに喜び今後もただ牛のように歩み続けようと思う。各位に願うは請う!今後のご指導を!(2009-08-19付「第807回 社会人落語初代日本一決定戦(下巻))」
 ※再掲にあたり句読点のみ加筆しました。筆者識

 すべては横のつながりだけで広がったという、馬の骨なりの自負がある。感謝、感謝、さらに感謝。
 「今日から―」「河豚」。30名。記録する。