第1098回 西区社協いきいき教室(於)西区堀江連合会館

 火曜日。約40名90分。「今日から使える笑いの力」、「蛇含草」。記録する。75分で舞台降り、5分で着替えラスト10分茶話会出席。
 やっと勘が戻ってきた。年末年始で舞台関係が途絶え、その間生命維持活動にうつつを抜かしていた。恐ろしいものだ。わずか2週間足らずで錆びるのを感じた。第1097回は「なんか遠いなあ」と思いながら喋っていた。一体と共有への道が如何に細く険しいかを思い知らされていた。
 
 開演40分前。会場入り。準備を頂いていたボランティアのご婦人方の中に、「頼まれてた座布団持ってきたでぇ」とひときわ大きな声で叫んでいる奥様が居た。皆さんの中にあって、この人だけ光を放っていた。
 元気な人がいるなあ、とその人を見た。その人も、講師の先生来はってんな、と僕に視線が合った。
 僕と彼女は見つめ合う。時間がとまる。頭で人生の様々な記憶が高速パラパラ漫画で猛烈に回転する。彼女の中でも走馬灯がうなりを上げて回っているのがわかる。時間にしてホンの0.89秒ほどだったにも関わらず、僕と彼女にはお互い体感2時間ほど見つめ合っているように思えた。
 彼女が口を開き出したのが見える。記憶が結実し、思い起こした僕の名を呼ぼうとしているのだ。僕もその瞬間、記憶の焦点距離が残像と合致した。
 彼女は叫んだ。「乱坊ちゃん!何してんのん!」
 僕もほぼ同時に叫んだ。
 
 「ここで何してまんのん!オリーブさん!」
 
 先輩だった。クラブ創世紀に程近い伝説の時代の女傑である。一度、彼女の家であるお寺に呼んで檀家衆をお客様に頂いてお噺させてもらったことがあった。それ以来の既知を頂いている。
 先輩には実に朗らかに楽しんで頂き、笑いを引っ張り応援して頂いた。
 彼女を始めとしたお客様のご協力のおかげで、会場は神の気に満ちているのを感じた。もちろんオリーブさんのお寺のご本尊のご加護にも感謝申し上げておく。立場上、八方美人である。