第1091回 平成23(2011)年元旦の大事件

 新年明けましておめでとうございます。
 旧倍のご愛顧をお願いします。
 
 さて、本年、平成23年度は不穏な幕開けとなった。事件が発生したのだ。以下に記しておく。
 
 【事件の概要】
 
 平成23(2011)年1月1日午前8時ごろから同25分にかけて、奈良県宇陀市榛原区高萩台の乱坊実家で、雪だるま頭部(直径30センチメートル)・胴体部(直径40センチメートル)の計2個が、時間差で忽然と姿を消した。この雪だるまの製作者である乱坊の長女、次女らが、同日午前8時25分ごろ発見し、事件が発覚した。
 この事件は、年初早々の事件だったことや、子どもの作った雪玉を盗むという愉快な犯行、目を離した2分ほどの間に現場から盗みだすなど犯人のルパン三世の如き行動、これらの多くの事柄が明らかになっていながら犯人の特定に至っていないことでも注目されている未解決事件である。
 
 【犯行の詳細】
 
 乱坊実家では、新年のお祝いをするために雑煮は乱坊が調理し、もち焼きは乱坊の長女・次女らが担当することになっている。だが、前夜大晦日からの豪雪で、乱坊実家宅はマンション11階部分にも関わらず、玄関付近には雪が10センチメートルほど降り積もっていた。娘ら二人は、お祝いの用意(もち焼き)があるのに、玄関から飛び出しキャーキャー言いながら雪だるまを作るべく、姉が胴体部を、妹が頭部を丸く整形する作業に打ち興じた。
 概ね雪だるまの両パーツが出来上がった午前8時ごろ、おばあちゃんが「もち焼いてやー」と二人を呼びに来て、雪玉を積み上げないままに二人は入室した。姉(9)はその後もち焼き業務に従事したが、我慢しきれなかった妹(7)が入室後2分ほどして再度雪玉を見に行ったところ、妹が作った頭部のみが姿を消していた(第一の犯行)。
 その後、新年の儀式、乾杯などを済まして、再び我慢しきれなくなった姉妹が8時25分ごろに玄関口へ見に行ったところ、残っているはずの胴体部までもが姿を消しており(第二の犯行)、およそ25分ほどの間に2つとも消え失せたことになる。
 足あとは娘たちの物、前夜タバコを吸いに出た乱坊の物、新聞配達とおぼしき物などが散在したが、犯人の物と特定できるものはなかった。
 
 【本件の事件性】
 
 窃盗された雪玉は、午前8時ころ、おばあちゃんが姉妹を呼びに行った際、その存在を確認しており、また「あとで目と鼻と口を付けないかんなー」と姉妹と言葉を交わしているのを家人も聞き及んでおり、雪玉2個が存在したことは間違いないとされている。
 第一の犯行直後、妹は「頭がない」と騒いでいたが、父は酒の燗に夢中であり、他の家族も新年のお祝いの準備であまり問題視していなかった。第二の犯行後に姉妹が騒ぎ出したことを以て事件として認識された。
 しかし、経済的価値のない雪玉を窃盗することがいかなる犯罪となり得るのか、返還されたところで今となっては単なる「水」ではないのかなど、事件として騒ぎ立てるほどの問題なのかと疑問視する向きもある。
 
 ま、事件といやあ事件だわな。しかし、誰が、何のために!