第1061回 愛知県知立市商工会青年部・(社)知立商工会議所共催 「若手後継者育成講座」 講演

 表題の件、愛知県知立商工会大会議室、19時10分登壇20時25分終演。質疑応答終了後降壇20時35分。「今日から使える笑いの力」。
 
 知立市は、愛知県の交通の要所で、自動車メーカー企業の関連企業が多い。人口約7万にして微増と伺う。街道宿場街で祭りも盛大らしく青年商工業者の皆さんは活気に満ちていた。
 珍しいと思う。僕自身も故郷の商工会青年部に属していたことがあるが、青年会議所と合同で研修会を持たれるというのは聞き及んだことはない。
 青年部長の野々山さんは、開演までの時間、僕と控え室で応接して下さった。面白いお話をたくさん聞かせて頂く。商工会青年部による大阪旅行の思い出などは僕も数度行った商工会の研修旅行の楽しさを思い出させてくれた(大阪旅行の内容・地名とも詳細には書けぬ)。
 驚いた点が2つある。
 1つは、大阪では当たり前の「ママちゃり傘立て固定装置」や、あの溶接工の如き「おばちゃんサンバイザー」が大阪特有のものであって、他の地方には、ない、という発見だった。部長は「おばちゃんで自転車に傘を立てている人など居ません」と言った。僕らは「おばちゃんで自転車に傘を『立ててない』人」など見たことない、と言っても過言ではない。
 スーパーの前など、ほぼすべからく傘を立て、あるいは溶接工サンバイザーを被っている奥様だらけではないか。そればかりか日傘を自転車にオッ立ててサンバイザーを被って走る両刀使いさえゴロゴロいるのだ。
 あれだけの防備をしていれば、直射日光の非常に強い、たとえば水星や金星表面でも自由にお買い物ができると感心していたのだが、あれが大阪の局所的風俗文化であったとは初めて知った。
 もう一つ。僕は名古屋方面での講演の機会はこれで4回目であるが、前3回にチャレンジして3回とも失敗していたことがあった。「きしめん」だ。
 麺類ずきの僕にとって、きしめんは付け落ちだった。食ったことがない。
 前回は、名古屋駅でタクシーの運転手さんに聞いてみた。きっと大阪のように気軽な「立ち食いきしめん」みたいなのがあって、僕らに発見できぬようなところで、いや、大阪者にこんなうまいモノを食わしてなるものかと、きっと隠れてズルズルズルズルと安くて旨いきしめんをほうばっているに違いないのだ。
 タクシーの運転手さんに聞いたとき、彼は言った。
 「さあ、知りませんねえ」
 あ、やっぱり隠している。僕をミシュランか何かとかんぐっているのだろう。お気に入りの「立ち食いきしめん」が世界の旅行者に踏みにじられ味が落ちるのを嫌っているのかも知れぬ。
 気持ちはわかる。難波のスイスホテル向かいのいつも行く立ち食いうどん屋が、欧米の観光客の長蛇の列で入れないとか、人気が出すぎてかけうどんが450円くらいになるとか、欧米向きにモッツアレラうどんなる得体の知れんものがメニュウに並ぶみたいなことを避けようということだろうか。
 その点、知立市商工会の青年部長なら赤裸々に本当のこと ― おいしい立ち食いきしめん屋 ― を教えてくれるだろう。
 「え、きしめんですか?ははは、きしめんなんてここ十五年から二十年、食べたことないですよ」
 これは僕が言ったんじゃない。名古屋から急行で20分にある、きしめん文化圏ど真ん中と思っていた市の青年部長が言うのだ。
 味噌カツは必ず食うと言われた。が、きしめんは家庭でも食べない、というのだ。ああ!あれは観光用なのか。だから駅構内のきしめん屋がシンプルメニューで450円くらいしたりするのか!
 昼何食いまんねん、と問うと、彼が「うどん」と言ったのが印象的であった。
 講演は、皆さんのおかげを以て楽しく持ち時間を走り抜ける。感謝する。お客様の心を開き、語るべき言葉を与え給うことに。今日の舞台は、今日までの全ての舞台を土台として、また明日の舞台の土台となる。
 お土産は、かきつ餅という地元名産のおいしい和菓子であった。ほどよい甘みの餅が紫シソに包まれている。帰って家族で楽しませて頂いた。
 帰りに電車の中で缶ビールをカラムーチョつまみながら。考えてみると、朝に冷麦を食べたのみであった。効く。
 帰宅し、翌日の用意をして寝る。