第1012回 西成区社福協 千本地区 いきいき教室

あいぞう【愛憎】(名)愛するとにくむこと。− 金澤庄三郎編『廣辭林新訂版』三省堂発行(昭和12年1月25日新訂第360版)より引用
 
 9月が始まった。敬老月間である。1日は、ホームグラウンドの西成からだ。千本地区は家から自転車で10分で行ける。
 9月とはいえまだまだ暑く、とろけそうになりながら、千本会館に着。20名60分、あと20分茶話会ご同席。
 「今日から使える−」、蛇含草。記録しておく。
 高齢者閉じこもり予防事業にでてこられる方々は基本的にお元気だ。うちの母親ぐらいかなあ、と思ってみていたら、最前列は90代がバリッとお並びいただいていることが判明。この辺の年齢になると、20年ぐらいを豪快に間違ってしまう。ほんとお若く、お元気でいらっしゃる。
 激動の時代をへて、現在の日本の礎を創っていただいた世代の皆様に、このような不甲斐ない国家と、頼りない社会保障制度しかご提供できていないことを、下の世代として残念に思う。
 
 終演。火照り、興奮した魂を冷やすのに、会場近所の公園の木陰で少しく読書などして帰る。
 気付く。セミが鳴いていない。一部、ひぐらしが静かに鳴く。セミの時期は、もう終わったのか。
 たしか彼らは、七年地中にいて、七日の地上生活を謳歌すると聞く。樹液を吸って、鳴くのが仕事。一週間で求愛して、生殖し、産卵して滅ぶのであろうか。このへん昆虫博士じゃないので良く解らないんだが、非常にシンプルな人生観をお持ちでないと、人間のように愛憎悲喜こもごも、ぐちゃぐちゃ言うてると何も出来ぬうちにあっという間に死ぬ。
 細かい感情とかも表している場合じゃないだろう。あの鳴き声を翻訳すれば、「樹液、樹液、樹液!」や「女、女、女!」や「シッコ、シッコ、シッコ!」などの一次的欲求願望の連呼系なのだろう。細かいこと言うてる場合じゃないはずだ。
 時間がなくて忙しいから、なんか全員がイライラしているだろう。飯食いながら排泄なんてことも、お行儀が悪いとかヘチャとか言うてる場合じゃないのだろう。
 なんでこんな忙しいねん、時間ないねん、とかの不服をいう暇もなく、とにかく七日間を走り抜けるのか。すごいな。
 
 七年地中にいていっせいに出てくるのであれば、今夏、鳴いているセミは、全員同級生か。配偶者(生殖相手方)は絶対に同級生であることが確実な社会か。
 生を受けて以来、同級生としか恋愛をしたことがない、所謂「同級生マニア」、換言すると「同級生フェチ」、まあ謂わば稀代の「同級生フリーク」を自認する僕としては、セミのこの一点だけは、大いに共感し、羨ましく思う。