第950回 愛でもう一丁ぅ 浪速区塩草老人憩いの家

あい【愛】(名)1、めづること。かはゆがること。いつくしみ。あはれみ。2、をしむこと。をしみ。3、このむこと。すき。4、慕ふこと。こひ。5【宗】キリスト教にて、神格の本質とせる純粹普遍の慈愛。博愛。6【佛】十二因縁の一、五慾を貪ること。 愛屋上の烏に及ぶ(句)《説苑に出づ》人を愛する情の、其の人の周圍の物にも及ぶにいふ。 愛を割く(句)をしく思ふ心を抑えておもひきる。− 金澤庄三郎編『廣辭林新訂版』三省堂発行(昭和12年1月25日新訂第360版)より引用。
 
 行きたい国がある。
 何年前のことか。奈良県桜井市三輪山の麓、大神(おおみわ)神社に神輿を担ぎに行ったときのことだ。声をしっかり出して神ながらの道を肩を貸して進んだ僕達は、いつものトランスに入るべく神酒の杯を交わして幾数十合。小水の意を催して便所に急いだ。
 用を足していると突然の電話。後輩の茂八君からだ。放尿しながらの僕の電話の向こうで彼は言う。
 「乱坊さん、突然すいません!今、外国人のいるバーで飲んでるんですが、アイルランドの首都はどこでしたか?」
 急に問われた。酩酊ながらも僕は自信を持って絶叫調で即答した。
 「それは『ダブリン』だっ!」
 「おお、そうでした。ありがとうございました」
 どうやら外国人と呑んでいてそんな話になったらしい。
 こう書くとまるでアイルランドのことに妙に詳しいみたいに見えるか知れぬが、実はせやない。
 前日にCIAのFACTBOOKのアイルランドの欄を偶然見ていて「ほほーおー、アイルランドの首都はダブリンというのか、知らなかったなー」と読んだとこだったのだ。偶然とは恐ろしい。
 
 昨年、堺で外国の打楽器を演奏する若者とお出会いする機会を得て、親しく彼と話していた時だ。彼は言った。
 「私はアイルランドの音楽が好きなんです」
 僕は自信を持って絶叫調で即答した。
 「おお、アイルランドというと『ダニーボーイ』やな!」
 「ほほぉー、乱坊さん、アイルランドの音楽をよくご存知ですね」
 こう書くとまるでアイルランドの音楽に妙に詳しいみたいに見えるか知れぬが、実はせやない。
 前日にyoutubeで偶然にも『ダニーボーイ』を落として、「この歌どういう意味やねん」と調べ倒したとこだったのだ。
 アイルランドの偶然は重なるものだ。しかし、どちらにも共通して言えるのは双方一夜漬けだったことだ。
 
 英国は「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」であることは子供の頃から便所に貼ってあった世界地図を見ていてなぜか覚えていた。英国人と愛蘭土人はもめているのも何となく知ってた。でもその経緯は知らん。そんなレベルだ。
 たとえ地球が裏返しになっても、ワシが八角の糞こいても、かのアイルランドの地に行くわけがない、行く理由がない。
 しかし上記2例を以てワシはアイルランドにご縁があると独り勝手に思ってる。
  
 浪速区塩草老人憩いの家20名70分。講演・お忘れ物。楽しんだ。記録する。
 
 夜、来舞兄と打ち合わせ。居酒屋・幸梅で呑む。閉店後、店長夫妻と歓談。幸梅で寄席をしようと、寄席の名前は「幸梅亭」、せやから「平成幸梅亭」でいこうと決めた。
 自転車で帰る。車が急に出てきて心斎橋で一回こける。膝すりむいたが酔っていたので何ともなかった。偉いもんだ、導入剤は。