第749回 食博出演

食博 − 大阪の外食産業協会が行う巨大イベントで60万人を超える来場があると聞く。
正午に到着し、ごった返す会場を通ってステージを下見。客席はおよそ100。時間は30分だ。
今回はレジメ不能なので、初めての試みだが高橋メソッドでPDFのスライドを120画面用意した。
本番前、司会のお姉さんの呼び込みで8〜9割ほどが着座。後ろが流れるお客様なので大道芸状態である。
高々30分のお喋りなのでペース配分などない。前半から全力でガンガン押していく。時間配分は15分のところでイメージ2分押し位だったので若干調整。冷静。
左45度後ろの可愛い女の子、0度最後列の立ち止まったご夫婦、右45度後列の奥様、右70度最前列のご主人 − 彼らは目線をはずさず集中してくれたので、そこにバシバシ押しまくる。
自画自賛だが浜村先生のスジャータ時報告知並の終演。これには自分自身で驚く。
舞台後、僕をこのステージに推薦してくれた人たちが喜んでくれていた。感謝し別れる。舞台がはねると渇望するのは酒と肉。殊に肉はタレがいい、色んな意味で。
兄貴が陣中見舞いに来てくれた。二人で博覧会内出店ブースの「焼酎街道」へ。形式は阪神百貨店ワイン祭りと同じ。全ての瓶の試飲ができる。普段飲めないような高価な焼酎の数々の試飲、殊に芋を中心に攻めていく。しかし小さなプラお猪口に3ミリづつしか入れてくれんので私は、
「もっと、なみなみと注いだれやっ!」と心の中で吼える。薄利多売ならぬ薄飲多酔を基本方針にグッと堪える。
二人ともスーツ姿なのでバイヤーか何かに勘違いしてくれたのだろう、担当者達はこぞって注いでくれた。そして説明…。
「説明ええから、もっと次々注いだれやっ!」
とも何とも言わんと全てのブースを巡っていく。
宝焼酎などの雑穀焼酎を日頃飲む僕からすると、実に美味い。堪能。
焼酎博士の千太さんとのご同道なら、担当者らと話し込んじゃって大変なことになるところだが、単なる酩酊トランス研究家の二人だからこそ、比較的早い時間(1時間ほど)でブース群をくぐり抜けることができた。
返す刀でアサヒビールブースへ。ここは女の子が驚くほど可愛かったんで鑑賞していたが、兄貴が「座ろう、座ろう、腰痛い」と宣う。
後ろ髪引かれながらブースアウト。
生ビールを決めて、ワインの試飲、そしてサントリーハイボール。食博をほろ酔いで退場。
兄貴が「風庵のお礼参りに行こ」というので、地下鉄玉出駅下車。先導してぐんぐん歩く。一民家に到着。表札に「長谷川・桂」とある。兄貴が手を合わせて小声で拝む。
文枝師匠!ありがとうございました。お陰で上手いことできました」
僕も慌てて手を合わせ、何か言わないかんので、
「あ、あ、あ、僕もありがとうございます、枝雀師匠によろしう言うといて下さい」と口走る。
二人満足して寺島酒店立ち飲み部へ。びっくりした。師匠の家から30メートルほどだ。
岸里の出である兄にとっては文枝師匠の家は英語塾の通い道。いわば庭である。
でも、今は、僕の庭である。
ところが…。ああ、寺島休業!残念。仕方がないので北加賀屋の座り飲み屋にご案内。
焼酎ロックを頼んで驚いた。生ビールのグラスになみなみと焼酎。さすが労働者の街の底力。お代りして一人3杯づつで精一杯。
アテは、ふたりのいつもの兄弟会の企て。兄貴がとり、僕が中とり。僕の前は絶対に茂八君。兄貴の前は円九君。一番手は、もう何とかご理解いただいてやん愚師にご登壇頂きたい点を合意。断られた場合は、雰囲気を変えて、スーツ姿の会長に道具屋のネタ帳の朗読
(5ページから8ページだけを感情表情とふりなし)とかもいい。
司会はヤツだ。これも外せない。
二人でグラグラに酔うて、ヒイヒイ言うて、涙流して2200円。嘘やろ、ナンボほど安いノン、これ。