第745回 流行性感冒

かねてからインフルエンザには、鳥と馬があるのは聞いていた。今回「豚、始めました」ってことで、近時、牛界の焦りが見て取れる。

ようやくである。国が「新型インフルエンザ」と呼んでくれたようだ。私はずっとこれを提唱していた。早くそう呼べと。

豚インフルエンザ」と聞くと、何となく「豚がぜん息患うた」という、あの浄瑠璃をけなす定型句と直結する。今度、浄瑠璃稽古してる人居たら絶対「いやぁ、豚インフルみたいですなあ」言うてやろ、と舌なめずりして軒付けしている集団を探してたのだ。
誠にタイムリーなアイロニーであり、浄瑠璃初学者らの自尊心を完膚無きまでに叩きのめす、瞬時に黙らしてしまう魔法の呪文となるだろう。これはあたかも落研界で言う「大衆演劇みたいやなー」に匹敵する力を持つ言葉となる(そら凹むわ)。
そもそもがおかしい。豚さんの間で流行しているならば「豚インフル」でいいだろう。それが人さんの間に感染したら立派な「人インフル」じゃないか。
その意味で厚生労働省が「新型インフル」と定義したのは妥当な行政のステートメントであり、この背景には浄瑠璃関係者からの相当な抗議があったものと思量する。
しかし事はこんな悠長な事を言っている場合じゃない。パンデミックの到来である。人類半減への序章である。
かのスペイン風邪と称された1918(紀2578)年の大流行では、世界で1億人が死に、第一次大戦終結の原因となった。人類が大好きな戦争ですらできなくなっちゃうくらいにウンウン風邪引いて布団ひいて寝てたんだ。
対策は講じている。我が家では、妻が東南海地震を想定して「非常用持ち出し袋」を用意してくれている。もちろん、新型インフルで表へ出られなくなったときにも使用される。
僕はかねてから焼酎のワンカップを近所のシルクに買いに行くと、同時に安くなっている缶詰(ほてい・はごろも)や、ビーフジャーキーなどを買っては、コツコツ、コツコツとこの袋に放り込んできた。今や、非常用持出し袋は、私の非常用のアテでパンパンになり、非常時においそれと持ち出せないくらいになっている。この袋は私の宝物である。
ありゃー、何を書いてるんだ僕は!こんなことも言いたかったんじゃない。
ウチの長女は二歳の時、お多福風邪でホントえらいことになったんだが、ま、今、楽しくお話できるくらいまで回復してくれた(片耳のムンプス難聴だけ残った)。詳しいことはわからんが、親御さん方、インフルエンザにおいても小児には随分と気を付けてあげて頂きたい。
風邪じゃと油断してはならぬ。放置は死を招くぞ。ましてや紫の鉢巻きなど民間療法は以ての外じゃ。一刻も早くお医者さまじゃ。近所の市立病院におんぶして走って、紹介状書いて貰って都島の総合医療センターへ直行の事。
乱坊、世界の小児のため保護者の方々に心からお願いしておきますぞ。

大人は、勝手に、酒飲んで、直せっ!