第734回 十万億土旅

「乱坊さん、あなたが行くことになってた坊さん集会の賛助ですがね…。」
「ほい、ご担当の偉いさんの坊さんと3日程前に話したよー、どしたん円九ー。」
「あの坊さんがねえ」
「はいな」
「死にました」

私は言った。
「そんなアホな!あの人、坊さんやで」
「そら坊さんかて死にますわいな」
「ああ、しかし坊さんも死ぬかー。賛助飛んでまうやろなあ」

どうなるのか調べてほしいと円九君に依頼。

翌日、深夜1時42分。
けたたましく鳴り響く電話。着信は円九君だ。
「…寝てました?」
当たり前だ。大体普通寝てる、この時間。
こんな時間にかけてくるのは命の電話か、遠距離恋愛しかない。

「…復活しました」
「え、坊さんが!?」
「いや、坊さんは死んでます」
「おい、ほな誰がお経読むねん」
「そんなんほっときなはれ、あんた心配せんでよろしい」
「俺、お経読まんでええのん。それ聞いてホッとしたわ」

賛助が復活したらしい。
坊さんの追悼集会やし。
しかし、笑うか? 笑わしてええのか?
できるだけ湿っぽくしめやかに落語してきます。