第732回 地獄乃兄貴

落研関係の人と会いすぎてなかなか前に進まぬ。

「あ、おっさんさん!」
「おう!乱坊!見付かったか!お前鼻ええな」
「人をゴールデンレトリバーみたいに言いなはんな」
「そんなええもんか!」

月齢13.829。いわゆる望、満月だ。呑まない手はない。

西梅田の安酒屋に連れもって赴く。

「何でお前、ワシ今日えらい金持ってるてわかったんや」
「何とか酒呑む方法を、ゴールデンレトリバーなりに考えてまんねん」
「まだそこに、おんのんかい」

三時間余。焼酎ロック、酒四合。肴はポテトとチャンジャ。
地獄の兄貴はサワーを呑みながら膨大な語録を残した。
記憶がなくなるのでメモしたものが残っている。

曰く「全ての表現はショーである。発表会ではない。発表会にしてはいかん。上手いのは10分たったら忘れる。下手でもいいから、クォリティを上げて、楽しい話、己にしか語れん話を語れ」と。

胃の膚に落ちた。

日誌に特に記録しおく。
遺言である。これで彼がいつ亡くなられても大丈夫だ。
準備は万端、備えよ常に、である。
希望であるが、お通夜は…、

おっと、十月のおたなに出てもらうことになった。
今頃しこしことネタ帳作ってはることだろう。

次回は『休眠中の瑠畔大師匠の舞台引き上げ大勧誘の夕べ』だ。そちらもお楽しみに。