第438回 ウイグル旅行記 − 歸國

 朝、拔き。
 午前、此處からみんなと別れて一人旅となる。ウルムチから北京へ移動。
 ワシは中國語全くダメだ。英語は中國のある程度の人でないとダメと言ふことで、意志表示の方法がアルファ・ケンタウリ星系の惑星人とのファーストコンタクトレベルである。指さしとボディランゲージ以外は再見と謝謝のみでなんとか乘り切る。
 晝、「チキンオアフィッシュ」でチキンと言つたのに何故かフィッシュ。
 午後、北京から關空へ空路移動。機内の話し聲に英語や日本語が増えだして「ああ太陽系に歸つてきたんだなあ」と實感する。エアチャイナなのにスチュワーデスさんにうつすらと笑顔の缺片が。おお、やればできるぢやないか、エアチャイナ!
 夕方、機内で久方ぶりのポークの選擇!ああポーク。食べたかつたよ。うまいよポーク。で關空へ。
 日本國の入國審査の係官が「お歸りなさい」とにつこり笑つて言つてくれた。おお笑顔だ!我が國の役人最高!僕はウインクして「ただいま歸りました」と答へる。
 指紋と顔認證の機械があつたので「これどうするんですか」とまごついてゐると「外國人だけですよ、日本の方は結構です」と。そして言ひ終はつたあとに、またにつこりだ。
 このにつこりの環境に慣れ親しんで育つたので、中國のカルフールのレジで、レジ孃がスの顔で隣のレジ係と無駄話しながら、商品とお釣りをポイポイ僕に向かつて放り投げるのを見て、北京五輪はホントにもう大變なことになるだらう心底思ふ。豫言しておきます。
 今から教育なんて絶對間に合はない。北京空港の情報をインターネットで調べても(それも中國人が調べても)ちつとも情報がない。飛行機が飛んでゐるのに5時で事務所は電話に出ない。
 困つてる人をほつぽらかして空港の係が何人か集まつて、清涼飲料水を飲みながら仲間とくつちやべつたり、携帶でだらだら話してゐる。建物とかは立派だが、もう日がないぞ、オリンピックまで!大混亂になるぞ!大丈夫か?
 まあ、日本のテレビも新聞も記者交換協定で、中國の混亂は一切報じれないんだらうけど。そもそも日本の報道の自由なんて、日本のマスコミには始めから一切なく己で抛棄しとるんだからご關係の方は、大層に報道の自由とかホゲタ叩かん方がいい。ハナから膝まづいてる。
 とにかく今夜は家に歸つて、豚しやぶと芋燒酎(名古屋で貰つたもの)で日本を滿喫する旨を妻にお願ひした。
 明日からまた食事オンリーの日記で。いろんなモン見てちよつと今日醉ふたわ。