第308回 お迎へ

 昔はうなぎの旭亭の踏切までお迎へに行つてた。線香焚いて鐘鳴らして歩いてお迎へした。
 後に僕は自轉車に乘つて後に反對向きに乘つた弟に線香持たして鐘叩かして走つて歸つた。新生活運動、冠婚葬祭の簡素化だ。(古いな、知つてる人おらんな)
 今年は驛北のロータリーで鐘と線香だ。お迎へと言ふよりも、迎賓とか挨拶つて感じだな。辛うじてやつてるの感がある。
 歸つてきてはるときも、毎日ちやんとお辨當作つてゐたし、確かにねじれ君が言ふやうに、ナスビやキュウリを楊枝で刺して動物を作つてゐたな。
 三日間の辨當やお食事、お供へ物の一切を最終日の西方へのお送りの日に丹切橋の上から全て流したものだ。
 あれらのウチに傳はつてゐた大和東部の盆の風俗は、ウチがマンションに住み、川にモノが捨てられなくなつた時に消滅した。
 
【陣中日誌】
朝、パン、りんご、ソーセージ、バナナ、ゼリー。
晝、ハヤシマカロニ。
夜、しし唐と煮干の炊いたん、ゴーヤのおひたし、冷奴、ナスと小松菜の炊いたん、さんまの干物燒。