第140回 憩いの月曜定例

 休日は家庭生活に没頭するのでヘトヘトになる。だから月曜は例え早く仕事が終わったとしても、必ず夜の街に出る。一軒だけ行って帰る。ねじれか誰かを誘って二、三〇〇〇円だけ呑んで帰る。
 これを僕は個人的に「憩いの月曜定例」と呼んでいる。もちろん妻にはその全貌をあかさず、仕事かプライベートか微妙な物言いにしている。自由を謳歌するのだ。ばくちも女もせん僕のささやかな楽しみだ。
 さあ、今宵、一週間ぶりの月曜日が来た(当たり前だ)。妻に飯要らずの電話をした。その際、彼女は不思議なことを言った。
 僕が「今日遅くなるから」というと、「ああ、今日は『月曜定例』やからなあ」と言ったのだ。
 電話を切ってからゆっくり考えたが、確かに彼女は「月曜定例」と言う単語をはっきり言った。「月曜定例」は僕の中だけの言葉だ。まして彼女にはその存在を不明瞭にしてある。ばらすはずがない。しかし彼女は言ったのだ「月曜定例」と!
 僕の隠れ遊び、月曜定例が漏れているのだ!本当の話だ。おそろしい。怖い。寝言がだだ漏れなのか、密偵が放たれているのか、酩酊時に自白しているのか。無関心を装いながら僕を完全に掌握している。
 僕は自由を満喫しているつもりで、地の果ての柱にサインをしたら、それは案外、妻の中指なのかも知れない。限られたフィールドの中を飛び回っているだけなのだ。
 
【陣中日誌兼戦闘詳報】

昼、ぶっかけうどんと竹輪天、穴子天。