第129回 基準食品

 例へば、何かを食つたとする。これが美味いとする。諸君はおつしやるだらう。
 「うへえ、○○より美味いねー」
 不味いとすれば、したり顏で宣ふに違ひない。
 「ありや、○○より不味いねー」
 この場合の「○○」を、私は個人的に「基準食品」と呼んでゐる。慣れ親しんだ、食べ慣れたものである。人にこの基準食品を問ふと、その御仁の人品・人生が知れやふといふもの。
 僕の場合、餃子ならば王將だ。プリンはプツチンプリン。酒は白鶴。燒酎はいゝちこ。ウヰスキーはトリス。うどんは加ト吉の冷凍。アイスはシロクマ。コンビニはセブイレ。マヨネエズはキユウピイ。豚足は角屋。牛丼はなかう。胃腸藥は惠命我神散。海苔は大森屋。茶漬けは永谷園。豚マンは蓬莱。アンマンはセンタン。チキンはKFC。ドーナツヽはミス堂、ハンバアガアはマク堂。カステラは文明堂…。
 いゝ物喰つてねえなあ。 あゝ何かすべてが安物すぎて涙が出てくらーあい。
 
【陣中日誌】

朝、櫻エビ茶漬け。
晝、記録なし。
夜、獨り酒盛り(燒き鳥吉鳥)。
夜半、自宅アテ、ウーロン杯。