第111回 オムライス周邊

 冷藏庫に鳥肉と玉葱、卵が、ジャーに冷や飯があれば、親子丼か、オムライスか、心の中の二人の天使が、死鬪激鬪を繰り廣げる。前者は雪平一挺で、後者はフライパンだけでゝきる。時間も手間もさほど變はらん。
 味は親子丼の方が、されど卷き込む技術はオムライスがちよつと難しいか。オムライス、僕は大體切腹さしてしまふ。飯が多いんだよな。
 なつかしい…、思ひ出したよ。昔、實家ではミンチ、玉葱を鹽胡椒で炒めたものを、卵に包んで、ケチャップかけて「オムレツ」と稱してゐたけれど(結構好きだつたなあ)、社會に出てから見たことない。ホテルなんかでオムレツといふと卵だけで燒ゐてある。あれを僕は、いまだに「實無しオムレツ」と呼んでゐるのだが。
 みんな、家で實無しオムレツを食べてゐたのか。今度娘に作つてやらう。實有りのを。
 
【陣中日誌】

朝、飯、鹽辛、鮭フレーク、さよりの干物。
晝、炒飯(寫眞なし)。
夜、鳥鍋。