第1230回 富田林市錦郡小学校昭和36年卒同窓会「河豚鍋」

 ひと度人生を交差させた端山さんは、以来、一般民間人(注)でありながら、何かと僕を可愛がって下さった。ジョゼッペ事務所で寒暑苦楽をともにした。馬が合ったのやも知れぬ。興味を持ってくれたのやも知れぬ。
 
(注)「一般民間人」 落研上がりではないという意味。反して、落研上がりでも、若きころには自利に主眼が置かれているが、トウが立って利他を考え出すと、妙なことをやりだすので、それを「特殊工作員」と称して差し支えない。
 
 こちとら、あの「果物屋の倅」バリの任侠の世界に生きているから、小父貴と呼ぶ人が何人かいる。この人もまた「富田林の小父貴」、「端山の小父貴」と呼び慣わしてきた。迫力があるのだ。
 一度、僕が小父貴と呼ぶ皆さんを一堂宇に会せしめ、小父貴円卓会議なるものを会食つきで催してみたい。物凄い濃い会となるだろう。
 この富田林の小父貴は、僕をご自分の同窓会の余興のコーナーに呼んでくれた。彼は本会の幹事長であるから、僕がしくじることは彼の名誉を丸潰しにする。
 落語とのご発注であるから、枕で逃げるわけにいかぬ。安全をみて河豚で枕かまして行こうと決める。
 着替えて会場。乾杯から50分は経過している。数十年ぶりの30名たちは、互いをちゃん付けで呼び会う大盛り上がりである。皆さん酒が充分に行き届いている。
 出た。声張り倒して枕10分、本編18分。コの字席の右に女性の一群があり、随分助けてもらった。笑いを引っ張ってくれる。次第にみんな聞いてくれた。
 終わって、席を設けて頂き末席でご一座させてもらう。
 司会の方が、女性の方だけ自己紹介するコーナーを告げた。しかし皆さん奥ゆかしくお出にならぬ。
 そこで僕はかねてから目を着けていた「房ちゃん」を呼んで「乱ちゃん房ちゃんの紹介コーナー」に切り替えた。
 房ちゃんは、実に明朗快活にして、回転が早い。喋れる。親戚のおばちゃんには是非とも欲しいタイプだ。
 僕は、2年後のこの同窓会は、全編、房ちゃんとのツインの司会でいきたい。司会の相方現地調達生け捕り型だ。
 同窓生になれた気分だ。ありがとうございました。