第1107回 ヒーリーズ・フリーク

 踵[きびす]にローラーが装着されている女児の靴をヒーリーズというらしい。次女・まつ梨(7)の御愛用である。
 クリスマスも誕生日も何もなしで、質素倹約に勤めた封建士族や没落貴族のごとき生活に根を上げなかった彼女への父からの心づくしの褒美である。
 実に上手に滑りよる。購入当初は公道で4tonトラックの正面に飛び出したりするんじゃないかと心配した。そこまでいかなくても、「ツルーン、ステーン、ガチガチガチガチーン。物凄い音。ひょっと尻の下見たら、あんた、タイル3枚割れてましたがな(ざこば師「青菜」)」なんてことになりはしないかと若干ビビっていたものだ。
 日曜は池田での稽古会であった。土曜の千林落語会は姉が、日曜の稽古会は妹がと、父に酒を飲まさぬ見えない包囲網が引かれている。
 土曜は姉のお陰で生ビール3杯で帰還の憂き目にあった。日曜は焼酎2合でドックへ曳航された。
 つまらん。実につまらん。はよ嫁に行け。