第1071回 阿倍野区社協 家庭介護家族会 講演・落語出演 (於)阪堺チンチン電車

 阿倍野区は、先日の王子連合での福祉会館出演が初上陸であったんだけれども、今回、区社協本体からのご依頼を受けた。光栄なことである。
 大阪全区の区社協をコンクエストしようという、意味もない野望(全区を制覇したからといって誰かに誉めてもらえるわけでもない)を抱き、いまだ見ぬお客様方とのお出会いを求めて邁進する表現舎にとって、新たなる区社協と仁義を切るのは、大いなる喜びである。
 今回のご発注は、ご縁あって豊能大姉を通じてもたらされたものであるが、これには様々な導きを以て僕にまで到達されているものであると知る。
 以前、交野市社会福祉協議会のボランティア研修会でおしゃべりさせて頂く機会を得たが、その際のご担当者が、阿倍野区社協の家族会企画担当者に拙をお薦め頂き、当時の交野市社協との連絡の任にあった大姉を紹介して下さったということであった。数奇なつながりだ。僕をお忘れになられていたり、紹介頂けない場合もあったわけだから、見えざる手のご配慮を感じざるを得ない。
 今、昼の上司は僕にこう言ってくれたことがある。
 「経済を離れ、自分の信じたものに向かって活動していると、自分の知らないところで自分を支援してくれている人がいることに気づく。自分を支援してくれる人の存在は、いかなる巨万の財宝を得るよりも尊いものであると知れ」と。その理解の門口に僕はやっと立ったところだ。
 
 スタッフを含め約30人。臨時列車貸切だ。旅程は以下に記す。
 11時10分姫松駅乗車 → 「今日から使える−」 → 浜寺公園駅(休憩後折り返し) → 昼食(豪華弁当) → 我孫子道車庫(休憩)→ 「蛇含草」 → 天王寺駅(折り返し) → クロージング → 姫松駅(下車)。

 実際、吊り革を握って講演したのは初めてである。家の近所の、また昼の仕事の事務所の前を、時折乗るチンチン電車に乗って、高座に坐り通過するとは思ってもみなかった。ガタンゴトンの音に負けじと声を張り、行程終了時には声を飛ばしてしまった。
 
 初見にも関わらず、お客様方は実にお心をお開き下さり、ご自分から率先して僕との時間をご愉快にお過ごし頂いた。家庭での介護で日々忙殺される皆様に、少しくのリフレッシュを感じて頂こうと企画されたこの会に、僕の存在を以て何らかのお役立ちができたとするなら表現舎のこの上ない喜びであり、僕はそんなために存在していると信じている。
 浜寺公園駅我孫子道車庫などの休憩時間は、無名無才の凡夫をして記念写真を取って頂く栄光に浴する。僕は両駅で独りになったとき、両の手を天に突き出し、狂おしいほどの主客の一体と時空の共有の妙を眼前に現出下さることに感謝した。
 
 阿倍野駅通過後、天王寺駅着直前に蛇含草落ち。ジャスト・スジャータ頂戴しました。
 
 姫松駅下車。皆さんと共に阿倍野区社協のヘッドクオーターに帰着。皆様を送り出す。
 書いておく。いろいろな区社協との協業の機会を頂いているが、介護や福祉の現場で働いておられる女性の皆さんは、美しい光を放っておられるのが見える。対象がすべて人であり、相手方やご家族が尊厳ある人生をお送り頂くことを念じて日々奮闘される毎日の尊いご労苦は、彼女らをして聖なるものへと近づけるのであろう。区社協のご担当各位、ネットワークのボランティアのおばさまたちは、独特の雰囲気を放っておられるのだ。僕はそれに気づいている。
 本日ご案内ご担当のK女史は、ご聡明かつ表現には目を見張るご才能をお持ちであった。マイクでおしゃべりになるさまは、MCとして僕などとは比べものにならぬほど見事なもので、充分商用に耐えうる表現者であった。特筆しておく。
 
 終了。おあと協議事項あり、智子姉のお声がけを得て、長堀の居酒屋「なごみ」に遊ぶ。福島の兄、十巣師らと痛飲する。この店とマスターについては後日詳細を記すが、新たなる僕らの本拠地となりえる名店を発見したり。
 プロカメラマンであるマスターと皆が来る前一人で話し込み、互いの行きざまに共通する何かを見いだした。僕は感銘を受けた。マスターは一枚の色紙を出してくれた、サラの。
 人生で初めて色紙にサインした。日々の感激を8文字に託し署名した。この店に行くと壁面にご注目を頂きたい。桜井和枝先生の色紙の横に貼って下さっている。
 
 「主客一体 時空共有  表現舎乱坊」と。