第985回 在宅支援110番寄席に出演

あいじゃく【愛●(●は草冠に者)】(名)【佛】愛にひかさるること。愛情にほだされること。− 金澤庄三郎編『廣辭林新訂版』三省堂発行(昭和12年1月25日新訂第360版)より引用。
 
 土曜日。千林大宮商店街の在宅支援「110番寄席」に出演した。ここは第二回目である。
 今回は演者変らずのネタ変りで、表現舎乱坊「蛇含草」、関大亭笑鬼師「ちりとてちん」の二本建て。おまけとして終演時のくじ引き大会付きである。
 集合時間に先代学長のコアラ君が来た。一日お手伝いしてもらう。
 
 まず、クールさんに仁義を切りに行く。いつに変らんクールさんのいいテンションだ。軽口を2、3交わして少し高いところへ行く。
 芸大落研ご関連の常設小屋「伝楽亭」にもご挨拶に伺う。コアラ君と二人、アイスコーヒーが思いのほかうまくて正直驚いた。
 
 情宣を三人でやる。気づいたことがある。5月にやったときは気候が良かった。今回は7月。暑い。とにかく暑い、くそ暑い。歩行者たちが殺気だっているのがわかる。早く買い物を済ませて帰ろうとしている。開演前6名ほどか。やばい。
 みなで頑張る、声をしっかり出してお客様を引く。興業の原点である。開演直後、客席は概ね埋まる。
 枕「歯」に蛇含草。お客様は温かい。ここは前もそうだった。キャパが30くらいなのに、すごく温かく感じるのだ。ここのご担当アビちゃんらもいい感じで尻押ししてくれて心地よい。
 
 笑鬼小父貴、枕「ヨーグルト」にちりとてちん。お客様との年代が近いのは得だなあ、と思わせる喉元への押し込み様。お客様といっしょにマイクロバスで親せきの結婚式にでも行くような一体感を現出される。
 お楽しみ抽選会。アビちゃんがクジを引く、僕と笑鬼さんで盛り上げる。この人とやっていて、いつも感じる。セイムブラッド。同じ血脈だ。何とか空間を楽しいものにしようと、誠実に、正面からお客様と共有しようと務め、その過程を自身も楽しまれる。
 
 賛助に行くとき、共演者として先ずこの方のスケジュールを確認するのは、落語でなく、この方の「気」や「念」のようなものを、ご存命中に一滴でも吸い尽くしてしまいたいと思うが故である。あの人は僕が吸い尽くせぬほどの「気」の汁の埋蔵量を持っておられる。愛●するその体液をストローでチューチュー吸うているが、ものすごく汁の油濃く、次の日に必ず胸焼けする。原油流出中のメキシコ湾の様相とでも言えば皆に解り良いか。
 
 はねて反省会。クールさんが寄席にご来駕を頂く栄に浴し、打ち上げも持って下さった。クールさん、まだ仕事があるということで足早な一次会となったが、コアラ君の労働も労い、話は様々に及ぶ楽しい反省会となった。梅田へ出て二次会。お好み焼きと焼きそばで焼酎を舐め、梅田で別れ帰る。