第939回 三弟披露宴乾杯発声

朝、食パン一枚生食、乳脂少量、塩一つまみ。
六甲山ホテル。寒い。チャペルで式。ローマンカソリック。平素の加護の御礼を申し上げる。
身内・友人30名程度のアットホームな会での乾杯発声を請く。
「六針の怪我と故障テレビの直し方」、「通天閣での妻との出会い」、「妻の尻の形に敷かれよ」の3ブロック3、4分を用意したが、乾杯が野外だったので寒く、一個目だけで、2つを割愛し発声。
六甲山ホテルは、皇族方もお成りになった格式あるホテルという。
ブッ飛んだことがあった。
シャンペン乾杯。テーブルにはビール。ビールは普段飲みつけない。焼酎ロックを頼む。もちろん芋だ。
僕は平素、かのか等これ以上ないほどの大衆酒を全身に浴びているからして、皇族のお成りのあったこの雰囲気の中で、おいしい料理を肴に、うまい芋を味わいたいと思ったんだ。
「芋をロックで」
注文は玉出の立ち飲みのおばちゃんに言うのと寸分違わぬセリフだが、返事はいつもの”あいよっ、芋ロックで!”(西成式腹から発声)ではなくて、
「かしこまりました」である。
芋ロックごときでかしこまられても困るんだが、数分後、うやうやしく芋ロックが来た。
北加賀屋の行き付けで頼むと、ビールの中ジョッキになみなみと芋ロックが注がれる。だが六甲山では華奢なロックグラスにヤクルト一本分くらいの上品な芋ロックなのである(上品な芋ロックとは自分で書いてて違和感を覚える表記だ)。
飲む。
ありゃー、う、うまいではないか!かのか芋や、ナンバの行き付けホルモン屋で飲む銘柄不明の芋風スピリッツとは明らかに異なる芋の芳醇な香り、そのくせ25度を上まってくるかと感じられるストレートな刺激!うまい。さぞかしすごい銘柄を入れてくるんだろう。
「すいません、この焼酎、銘柄何ですか」
「はい、『それから』です」
本当にイスからずり落ちた。
大衆酒の王様「それから」だ。知っている。「それから」は僕と来舞兄の間では禁止銘柄になっている危険銘柄だ。飲んだ尻から頭が痛くなる「直き痛た」(仮称)ジキータ)」である。
「それから」には2クラスあると聞く。ジキータと、チョッといい方の(仮称)「上のそれから」の2種だ。
もちろんそこで飲んだのは「上のそれから」だと思うんだが、完全に雰囲気に酔わされた。
今度「それから芋」を買ってみよう。いや、あのホテルで「宝焼酎35度」や「白鶴まる」なんかの量産型大衆酒を飲んでみたい。うまく感じることであろうなあ。
ホテルの料理、おいしく頂いた。
帰宅。家族は腹減ってないというんだが、あと鶏鍋をポン酢で。焼酎一合。

本節の終わりに臨み、三弟の新生活に弥栄あらんことを祈る。御手の加護あれかし。