第896回 リアルサンタ

12月25日本宮。毎年、この時期になると天寧に聞く。
「君はサンタがいると思うか」と。
もちろん答えは「いる!」だ。彼女には迷いがない。
「何故いると思うか」と問う。
「見たもん。うちに来たもん。」と言う。
「サンタは如何なる姿をしていたか?」と問えば、実に克明に当時の記憶を答える。
大したものだ。三つ子の魂百までとは良く言った。
「お父さんは確かに私の後ろにいたわ、だからよそのお友達の家のサンタみたいに、お父さんがサンタなんじゃないわ。あれは本物のサンタよ」と言う。そうだ。あれは、父じゃない。烏龍だ。
当時、天寧二歳。まつ梨は乳児で記憶がない。唇を噛んで悔しがる。