第694回 地獄屋おっさん兄

朝、カレー。
午前、電話数本、千日前概要書、フローチャート等作成。
昼、カレーうどん
午後、本町、難波各一件。現調一件。
あかん、こりゃ不動産屋や。

終わって、ふと立ち止まり、おっさんさん(地獄屋)に電話した。
携帯のメルアドから9日が誕生日やと思うたから。

「今、どこに居てますのん?」
堺筋、北浜や」
「ワシ、日本橋ですわ」
「なんや」
「誕生日祝いしょうかなー思うて」
恵美須町で待っとれ」
「金ありまへんで」
「お前、いつもやないかい」
「へへへ、すんまへん」
「行くから待っとれよ」
「あいよ」

同業のよしみ。
たこ焼き屋でくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくい飲んだ。

おっさんさんが、
「あのな、落語てなもん、テクニックちゃうねや、人生や」
「はー、人生ですか。で、この残ったたこ焼き食うてよろしいか」
「食うたらええがな、お前、熱燗もう無いやないかい、おばちゃん、この子に熱燗もう一杯入れたって」
「いやー、もう飲めまへんで」
「嘘つけ、お前、最後の一滴啜ってたやないかい」
「へへへ、すんまへん」

電話。

「兄ちゃん、どこに居てるねん」

弟だ。

「俺は恵美須町や」
「難波八時半、来れるか」
「行けるけど、金ないで」
「兄ちゃんいつも無いやないかい、かまへん、待ってて」
「解った」

ほで、せんど説教したった。実にいい兄だ。ごっつあん。

満月やった。