第637回 悦子百景

省略形である。
いろんなものを食べた。だが、最近、悦子の世話でバタバタ、日記を更新する余裕がない。

ベランダに美しく咲いていた紫のパンジーは全部食われた。哀れ、ビオラの若葉は半分食われ、寸出のところで室内に避難した。
フンの世話は妻が、散歩は天寧が、おネムのトントンはまつ梨が(温いんでトントンしながら自分が寝る)、僕は風呂を担当する。まさに家族総出である。

天寧は観察日記を付け初め、担任の加藤先生から花丸を連日ゲットしてご満悦。まつ梨の何を刺激したのかはしらんが物凄い勢いで広告の裏に悦子の絵を描いている。

まさに家族は悦子を中心に回りだしたのである。もはやペットではない家族のような何か、だ。

昨日。会長の笑鬼さんから電話があった。別件だったんだが、電話の最後に彼は言った。

「ところで、悦子どんな具合や。肥えてきたか」

実はこのための電話だったのかも知れない。娘たちに何と説明をすればいいのか。
生、そして死。人間の業、宗教的経験、食物連鎖などを教える素晴らしい機会となるのだろう。