第341回 ギャル曾根

 今頃何言つてんだとお叱りを受けようが、書く。
 彼女を初めてみた。ギャル曾根。昨日は世界のスイーツを食べてゐた。一昨日は餃子百皿、中トロ握り百貫、プッチンプリン十七個を食つてゐた。
 僕は大食らひの會が大嫌ひだ。食ひ散らかして見てゐて汚いし、意味が分からない。世の中にはホントに食ふに困つてゐる人もいるし、貴重な限りある資源を何してくれんねんとマヂ思ふ。出場者が苦悶の表情を浮かべてゐたりするとムカつく。アホかと。「もつたいない」が世界の共通概念となんなんとするに何といふ浪費かと憤慨してをつた。
 しかし、そんな僕をギャル曾根は魅了した。彼女は苦悶の表情を決して浮かべぬ。普通に食ふ、いや樂しんでゐるやうにさへ見えるのだ。前述の番組でいえば、餃子、中トロ握りを百づつ食つた後、プリンの一つ目を食べたときに彼女が漏らした言葉に驚いた。
 「おいし〜い!」
 彼女は決して食ひ散らかさない。食べ方が汚くない。口の端も汚さない。こぼさない。布巾で時折、机を拭ひてゐる。身體が僕達とは根本的に異なるのかも知れぬ。見えないところで便器にしがみついて吐き倒してるかも知れぬ。早く死ぬるかも知れぬ。
 しかし、彼女は今までの大食ひとは確實に違ふ。顔形のことではない。彼女(の藝)は僕を魅了した。
 
【陣中日誌】
朝、喫茶でモーニング。
晝、天寧とパン屋でデート。