半年ほど前のことだ。料理屋に上がつてメニューをみた。グッとくる品名を見つけた。
「マグロ三昧」 八八〇圓
安い!安いんぢやないか!「マグロざんまい」なんて料理屋側からなかなか言へることぢやない。どれだけのマグロを食はしてくれるおつもりなのか?「ざんまい」だ、「ざんまい」だよ。
唐揚げ、山掛け、ステーキ、丼ぶり…。マグロの樣々な調理法を試して食つて八八〇圓!うひよー!下さい、下さい、これ下さい!僕はメニューを強く指差し註文、うきうきして待つた。
「お待たせしました〜」
店のお方が運んできたのは、皿にマグロの握り壽司がたつたの三つ。
「ん?三つだけ?」
メニューをよく見ると
「マグロ三味」だつた。
「さんみ」だと!種類の違ふマグロを三つだけといふことだつた。
「そりやさうだよなあ」
溜め息とともに、ポイポイポイと十五秒で食事を終了した。
【陣中日誌】
朝、水。
晝、豚の味噌せうが燒。
打ち合はせ後にボルヴィック一本一氣飲み。
夜、蛸刺身、ビール。