第255回 螢光燈

 二日前だつた。梅田の地下街を歩いてゐる時、すれ違つた人に氣を引かれた。
 同じくらゐの年格好、見たことのあるなつかしい顏。中肉中背、スーツ姿のおつさん。
 「ん!? 昔、どこかで會つたことがあるぞ…」
 彼は一心に前を向いて歩いて行つた。
 誰だ?二日の間、夜の目も見んと一生懸命考へた。
 ついさつき、二時半頃わかつたんだ。ありゃ、…關大の漫才研究會の大橋君だ。
 二十年ぶりだが間違ひない。 しかし今頃わかつてもどうしやうもない。
 
【陣中日誌兼戰鬪詳報】
朝、おにぎり、味噌汁。(寫眞なし)
晝、かすうどん定食。
夕、鰊蕎麥。
晩、娘のビーフンの殘り。