第196回 Kenjiとの戰鬪詳報

 石川さんや玉助さんと出會ふた蕎麥屋の二階。
 二杯づゝ生、然る後日本酒。肴には豆、鰯、刺身盛、螢烏賊、小芋等日本式を數品。銚子四本。仕上げには狐蕎麥。
 バージニア工大生に哀悼を表するに、彼、姿勢を正し長崎市長を悼む。獻杯を唱和。
 先づ彼、料理に感嘆。大食の士。好き嫌ひなし。
 來日數週間、本邦の印象を聞く。彼、花見に驚き意味を問ふ。答へて曰く、櫻、美しく短く咲いて潔く散る。大和人の憧れる死生觀である。その短い人生に多くの人と關はり會ひを持ち、樣々な情を育まんとする。個より族、族より公の秩序を重んじんと努め、恥を知り分限を保つ。
 基本、勞働を尊びその積重ねを喜ぶ。神道を基調に外來の佛、基督をも受け容れ、習合選擇しつゝも共存せしめんとするの心までを説明。表現の苦手な日本人が相手方と酌み交し、共通理解の釀成に神との交感(祭)に大きな役割を持つ「酒」を論ず。これらが合さり爲されるが花見と説明する。
 アニメ、カートンについて。彼はジャパニメーションを絶讚。日本アニメの深い精神性、ストーリー展開は中韓米等の比に非ずと言ふ。二人で前段との關聯を探る。
 彼、日本の受容と共存の精神に強い關心。同時に米國の狂態を嘆く。個人主義の横行は米國政府、殊に現政權の背後に見え隱れする巨大な金權と世論操作に現れてゐると憤る。このまゝでは國民が共和に飽き、日本に不益かつ中國に利するのクリントン女史を擁する民主が八年には勝利するとも彼の言ふ。
 當方も日本に於て同樣の問題ありと指摘。一部報道機關は既に亡國を圖らんとする犬共のプロパガンダの手段に他ならず、日本では餘程のスノッブでない限りテレビなどはもう見ては居らぬ。殆どの情報は下らん編輯を施さぬソースをネット上で複數に當たらうとするの意氣が滲透したと説明した。
 彼のブロークンな日本語と我がブロークンな英語は結構通じた。
 たゞ狐蕎麥をフォックスヌードルと説明するとビヽつてゐた。 來月も酌まうと再會を期して別れた。
 
【陣中日誌兼戰鬪詳報】
朝、拔き。
晝、オムライス、足らずに二時にカップラーメン。
夜、燒き豚とバターライス、燒酎。