第87回 人間存在の證

 事務所(注:橿原事務所)のベランダ掃除をした。
 鳩が雛を孵したのは知つてた。自分も子を持つやうになつて、親鳩の大變さも解るのであんまり無ゲッショウなことも出來ないと思ひ、追ひ拂はずに放置した。雛たちは巣立つていつた。後にゴミ袋(大)一杯の糞塚を殘して。半日の土木作業を餘儀なくされた。
 スカウトキャンプに行くとよく解るが、生き物の存在の證しは「糞」だ。短期少人數なら糞穴を掘つて埋めれば濟むが、長期大人數ならば、想像を絶する糞量で、毎日汲取りしないといけない。恐らく藏王のジャンボリーのGHQにも、糞の段取りだけをして、さつさと麓の錢湯に繰出してゐた、配給のねぢれ君みたいなのがゐたゞらう。
 恨み節は、まあ、いゝ。置かう。そのくらゐ人間生活とは密着してゐる重大事であるといふことなんだ。
 とにかく、現代社會は、糞が目の前から見えなくなつてゐるんだが、たとへ王候貴族であつても、お姫樣であつても、一年の糞量を山にしたらスゴいことになることを忘れるな、 と鳩さんから教へられた。
 
【陣中日誌】

朝、拔き。
晝、豚生姜燒き定食(寫眞なし)。
夜、食事當番、燒きそば。