第1147回 東住吉区いきいき教室(育和連合会館)

 見慣れた街も、着物の荷物を背たろうてポツポツ歩いていると、別の街に見えてくるから不思議だ。
 東部市場前で降りて、お世話になっている人たちの家の前を通るんだが、(スーツの反対語という意味での)私服では、おそらく判別不能であろう。ショーウインドーに映る僕は、単なる暢気なおじさんにしか見えない。わからないだろう。
 顔なんてそんなに簡単に覚えられるものじゃない。着物で喋って、茶話会に着替えて混じると0.25秒、「この暢気なアンちゃん、誰?」って顔をされることがよくある。有名人じゃないんだから当然だ。スーツで会う人は普段着だと「?」であろう。
 昼に自宅を出て、90分喋って、帰る。こんな時間の過ごし方に憧れて表現舎となったことを思い出す。なった当初は、飲む時間すらなかった。そのまま家に帰って、仮眠して、夜勤に出発したものだ。
 今は、寝れる。これだけでも格段の進歩である(レベルは格段に低いが)。
 断言する、人間は寝ないとダメだ。夜勤時代に猛烈に白髪が増えた。でも寝なくても生きていけることも同時に知った。寝ないで働いている人が大量にいることも知った。抜け出そうと思っても抜け出せない現実や、かつて抜け出そうと思っていたことすら忘れてしまう日々の連続で気力がなえて惰性で続けてる人たち、また反対に家族のために昼夜分かたず働き続けるマスラオたちを見た。いい思い出だ(でも、またアソコに帰ることになるかもしれないから、あまり懐かしむのはよそう)。
 本題に戻る。
 5人だった。最小催行記録4人に次ぐ親密なる個人指導状態だ。塾なら全員旧帝大に合格しちゃう。元気で利発なお婆様たちだった。
 舞台と客席で互いに普通に話しながら、こっちが爆笑させられる場面が度々あった。また来たいと本当に思った。必ず出会うだろう。感謝。