第849回 主流から僅かにずれたサブカルチャーたれ

天寧が辞書を持って帰ってきた。
今頃持って帰られても困る。
マの抜けた女だ。空気の読めぬヤツだ。
もうバスは走っているんだ。辞書を尻目に殺して、この体で行く。

日曜日のラーメンフェスタの日、まつ梨を塾に送ることになっていたらしい。
しかしそれでは間に合わぬ。
場所は天王寺。幼子を送る使命を託すのは、天寧だ!
老老介護の反対だ!幼幼養育、だ!
その代わり、このミッションを果たした彼女には、とっておきのご褒美が授与される。それは、ラーメンフェスタの会場で商いされるコロッケ屋でエプロン付けてお手伝いすること。そのために、天王寺から池田までの電車一人旅なのだ。そのあとは千里寄席の打ち上げをちょっとのぞくという、イベント盛りだくさんな日となるのだ。
ま、ご褒美と言うよりも、両親不在による自助努力である。
沢山の大人の中で子が育つのは良いことだ。教育理念は「人の顔色を読み、己の意見は弾幕を張って隠し、主流から僅かにずれたサブカルチャーたれ!」だ。