第574回 顔面骨折・肋骨にヒビ

朝一、墓参り。ご先祖に仁義切りに。
朝、飯一膳、味噌汁、醂干し。
子等を残して阿倍野へ。
妻が入れ替わりに榛原へピックアップにくる予定に。
雨だったが事務所開きは盛況。濡れて寒かったがしっかり頭まわして。終り府議に自宅まで送ってもらう。感謝。
 
疲れていた。疲れ果てていた。
子らが妻と帰ってきたのでパタパタとホイコウロを作る。
いつもの合言葉「さあ子等よ食え。勝手に食え。飯ができれば貴様らとは親でもなければ子でもない。父ちゃんは食うゾ」と言って、焼酎を一合半クーと。今日あったことを喋りながら食べた。
ソファーに伸びて寝てしまったのか。妻が何度か僕を寝所へ行くよう促し、子供たちの本読みに行った。
気持ち悪くなったのかも知れぬ、便所かも知れぬ。立ち上がった僕は極度の立ちくらみに見回れた。妻に言わせると「まるで漫画のように」そのまま直角に倒れたらしい。僕はしたたかに顔面を床で強打し、胸を打った。
この辺はブラックアウトしていたのかして意識がない。娘に聞くと這って寝床に入ったらしい。
記憶はここから復活する。五分ほどで起きたようだ。突然に襲ってきた顔面と胸の痛み。僕は瞬間的に、心筋梗塞脳梗塞が同時に来たと思った。
苦しい息の中、道中ばにして今世の別れが来たと悟る。不安げな娘たちに、母さんの言うことをよく聞いて、皆から可愛がってもらえる人になりなさい、と言い残し、早口で妻にこれまでの礼と詫びを入れ、子供たちを頼んだぞとお願いしてタクシーで近所の救急病院へ走った。
子等は、とうちゃんは死ぬのか、パスタは誰が茹でるのか、と大泣きして寝たらしい。妻が子を寝かしたあと自転車で病院まで来てくれた。
診察は終わっていた。妻は「まるで漫画のように」と先生に話したが、彼女のお気に入りのフレーズは今一受けなかった。
先生のお見立、原因は貧血。卒倒した拍子に顔面骨折。目の下に内出血(青丹)。あばらに皹。先生に何度も心筋梗塞でしょと確かめたが違うと言われた。
自転車を押して妻と帰りながら、心の底からの禁酒を誓った。顔痛いわー。