第404回 ■ポラリス亭記録

 ポラリス亭。堺市立東文化會館(北野田フェスチバル)三階フラットホールにて。
 
 狂角師 米上げいかき
 粹花師 ちりとてちん
 亂坊 はてなの茶碗
 
 いつもポラリス亭が開催される堺東の綜合福祉會館四階和室でネタを繰つてゐた。
 「遲いなあ、みんな」
 千太師に電話を入れたら、
 「君はどこへ行つてるのかね」間違つてゐた。
 十年振りの全力疾走。北野田着は集合時間に二分遲れた。
 樂屋入り。會場下見。演者一同あんぐり。何といふ素晴らしいホールなのか。
 會場設營が始まる。これこれこれこれ、イスなんぼほど置くの?これポラリス亭でしよ。150から置いてはりますぜ。そんな無茶な、エラい強氣な。
 で、…滿席となる。
 開演。全編を袖で鑑賞。
 狂角さんの米上げ笊。後半の盛り上げ部ではお客樣から喜びの悲鳴が上がつてゐたのを僕は聞き逃さない。
 粹花さんのちりとてちん。やられた。またこの人には打ちのめされた。外見的ノーミス。どれだけネタ繰つてはるんだ。サラッと「一日五回は繰れるだろ」といふのが嘘でないのがわかる。爆笑。
 兩師に、暖まつたお客樣に感謝して、舞臺へ。枕は近況を。そして本題へ。
 はてな初演。一年餘に及んだネタ繰り、笑鬼師とのお稽古。この噺への愛着を噛みしめて、名人上手たちが練りに練つてきた言葉の列を愼重にお稽古通りに自分を見失はずオチまで歩むことができた。
 お客樣から「君は氣づいてないのかね。ここは笑ひのポイントだよ」と笑ひで指摘していただいた點などもある。初演つてこともあり、お客樣と一緒にこの噺の人物、構成、盛り上がりを樂しめたと思ふ。やつてみて解つたことがたくさんあつて書ききれない。
 もつとこの噺を研究したい。ありがたうございました。
 
 稽古とは一より始め十を知り 十より歸るもとのその一 (利休百首)