第320回 うしお祭

 娘たちは南港の幼稚園だから、南港の自治會のイベントごとによく驅り出されてる。親も同伴を要求される。
 昨日、仕事を終へて夕方から連れて行つた。そこで「かもめの水兵さん」他五題ほどをご披露。僕は、まつ梨の擔任であるまり惠先生をはぢめとする諸先生方の踊りを堪能しながら、生ビールを即刻決めてゐた。
 子等の本番終了。自治會からジュースとミルク煎餅の食券をご褒美に。他にフランクフルトを一本づつ食はして燒きそばをつまんで歸らうかと生ビールを飲み干したその時、である。
 かの擔任の先生、まり惠孃が、
 「あのお…、まつ梨ちやんのお父さん(恥ぢらひ)」、と來た。
 僕は、ついに想定してゐたこの瞬間が來たかと、頭の中で用意してゐた次のセリフを稽古した。
(あ、先生、今日はだめですよ。ここは人けもありますし、子供達も見てゐます。それに今日は勝負パンt…)
 「お父さん、お父さん」
 ハッと我に歸る。
 「お父さん、私たちビールの食券貰つたんですけど、飲めないので、どうぞ!」
 「いやいや先生方もお飲みになられたらどうですか」
 「私たち、未成年ですからあ〜(笑)」(んなアホな)
 去つて行つた。こんなに飲めないな…。
 帳場に行つてフランクフルトに代へようとすると既に賣切れ。何故か返金された。結構な額になつた。
 先生ももう居なかつたので歸つて來ちやつた。懺悔。
 
【陣中日誌】
朝、青汁。
晝、刺身定食。
夜、ハンバーグ