第287回 尊豚攘夷

 USJは最近中國からのお客樣が多い。福島の兄さんご家族と共に遊ぶ。
 トンカツ屋に入つて、一口トンカツ定食を註文。娘はお子樣ランチだ。
 樂しみに待つてゐると、家族連れ風の五人組が入店、中國語でワーワー言つてる。店員を捕まへて喧嘩に聞こえる大騷ぎ。うるさいなと舌打ちを打つ。
 お、僕のオーダーが來たぞ。受け取る。
 すると、中國人家族の父ちやんがニュッと僕らのテーブルに來て、トンカツに顔を思ひ切り近づけてジッと見る。僕は驚いた。ど突かれるのかと思つた。
 「何?」
 次に母ちやんがニュッ、ジッと。
 「何じや?」
 婆ちやんがニュッ、ジッと。
 「おい!何やねん」
 そして長男が、長女が、と、都合五回のニュッとジッを受けた。最後には五人が僕の定食を見てテーブルの横に立つて話し合ひが始まつた。また喧嘩のやうだ。
 「おい!貴樣ら行儀惡いんじやー、こら!」
 全く聞いてない。どうもこの店辭めようつてことになつたらしく、店員が出した茶を家族でグビリとあふると、ワーワー言ひながら出て行つた。
 開戰を決意した日であつた。
  
【陣中日誌兼戰鬪詳報】
朝、蓬莱の豚マン。
晝、天理インターでかき揚げうどん。
夜、カレー、泡盛