第205回 食育

 決して妻が惡いのぢやない。彼女はちやんと米の磨ぎ汁でアク拔きをしたと言ふんだから。後で實況檢分した状況では鍋にはアクの痕跡があつたから間違ひないと思ふんだ。
 僕は歸つて他の事をしてゐたから氣付かなかつた。きつと何か手違ひがあつたんだらう。自分で手を下さなかつた僕の責任だ。
 山椒を食べた時のやうにビリ/\する。ヱグイ。をかしいぢやないか。小振りなヤツばかりなのに。刺身で食へるかなあと樂しみにしてゐたのに。
 取つて來た責任もあるし、死んで行つた竹の子に申し譯ないから、ビリ/\しながら食つた。まつ梨もビリ/\してゐたが結構食つた。これが我が家の食育だ。
 
【陣中日誌兼戰鬪詳報】
朝、茶漬け状の物、覺えてない。
晝、オムライス。
夜、筍の鰹節炊き。