第105回 落ち着いて!

 バラ/\が流行だ。
 かつてシニアスカウトの時、野營章だか炊事章だかをとるのに、鷄を自分で潰して、手羽、むね、さゝみ、もゝ、皮等に分別した。
 始めの血拔き、絶命の段階の生き物の温かさ、生命の尊さ、人間の有樣、業を感じつゝも、疱丁を握る五本の指は緊張にこわ張り簡單に外れなかつたのを覺えてゐる。
 用意した家庭用疱丁の刄は、鳥の脂と血糊でなまくらと化し、骨の間にこじ入れた箇所がさゝらのやうに刄缺けした。鷄一羽でこれである。
 辭めた方がいゝ。一度深呼吸してみやう。バラ/\は絶對割に合はないであらうこと、自信を持つて諸君にご説得申し上げたい。
 
【陣中日誌】

朝、拔き。
晝、廻轉壽司。
夜、月曜定例。角屋、ねぢれと。日本民族の優越について。