第70回 和風シチューの夢見てをります

 通天閣の下、ぢやんぢやん横町に名前は忘れたが、薄汚い食堂がある。マイミクの「お父さん」さんにご先導頂き、通天閣贊助の歸りに打ち上げで寄つた店だ。
 昭和三十年代の雰圍氣。店内には觀光地のペナント、提燈、點滅する螢光燈。意味不明な額に入つた寫眞、生命反應のない水槽。床はコンクリート打ち、舊世代のパイプイスと机。從業員も骨董品…。解りやすく言ふとかつての森岡食堂だ(榛原人專用)。
 品書きを見て注文した。
 「和風シチュー…?」とな。
 出て來た。カレールーを、シチュールーを、ハヤシライスルーを、肉ジャガルー(醤油・砂糖・みりん)を入れる前の野菜のごつた煮の寸胴鍋に、鹽をぶち込んだゝけのごくシンプルな貧民料理。
 うまい。口にあつた。貧民萬歳だ。
 
 もう五年程前のことだ。
 後に弟を連れて店に行つたら、店が「ねずみの糞の臭ひ」がすると評された。生意氣なやつだ。夕べ夢に出て來たので記しおく。徴か?
 嗚呼、捨てる神あれば、拾ふ神あり。午前、設計打ち合はせ。午後、某市新規事業用地現調。
 難波で客先訪問、お取り込み中。夕方、住宅金融公庫打ち合はせ。
 堺筋本町で終はつたのに、兄貴にフラれたから、久しぶりに家に早く歸る。
 
【陣中日誌】

朝、セブンイレブンおにぎり2個。
晝、橿原「笑軒」ネギラーメン(大)。
夜、家族でくらずし。